※本記事は、2021年版に更新しました。下記ご参照ください。
企業の配当方針(株主還元方針)には、株主への利益還元姿勢に関する、その企業の経営陣の考え方・企業文化が表現されています。
各社が公開している配当方針は、株主や投資家に対する対外的な約束ですから、その企業にとって非常に重いものです。配当方針の作成にあたっては、各社が細心の注意を払って作っています。
配当方針の文言を注意深く読むことで、その企業の本音が見えてきて、高配当株の投資先の選択に役立ちます。
以下では、累進配当ブラザーズの配当方針を、検証・比較してみたいと思います。
いろんな企業が、配当方針について、どのような書き方で表現しているかを比べてみると、なかなか楽しくて面白いですよ!
高配当株各社の配当方針
1.三井住友フィナンシャルグループ
「株主還元は、配当を基本としますが、健全性確保を前提に、自己株取得も機動的に実施いたします。具体的には、配当は、持続的な利益成長を勘案し、累進的に行うものとし、配当性向は、次期中期経営計画期間中を目処に、40%を目指します。」
⇒累進配当とは、減配をせずに、前年配当と同額または増配を行うという、素晴らしい配当方針のことです。
⇒三井住友FGの配当方針の特長は、なんと言っても、累進配当を明記している点です。
つまり、対外的に累進配当政策を公約しているわけですから、株主としては、減配を心配せずに安心して、同社株式を保有することができます。
⇒配当性向の引き上げを目指している点も好ましいです。
なお配当性向とは、稼いだ利益のうち、どれくらいを配当金として支払うかの割合です。例えば、配当性向40%であれば、稼いだ利益の40%を配当金として株主に支払うという意味になります。
2.三菱商事
「配当は、持続的な利益成長に合わせて増配していく「累進配当」を継続し、配当性向を現在の30%から将来的に35%程度に引き上げていくことを目指します。」
⇒三菱商事は、累進配当を明記し、対外的に累進配当政策を宣言しています。株主として、安心して三菱商事の株式を持つことができますね。
⇒配当性向の引き上げを目指すことを、明言している点も好ましいです。
3.ドコモ
「当社は、事業の成長・拡大により企業価値を高めつつ、株主の皆さまへ利益還元していくことを経営の重要課題の一つと位置付けています。配当については、連結ベースの業績、財務状況及び配当性向に配意しながら、安定性・継続性を考慮し行っていきます。」
⇒“株主への利益還元は経営の重要課題”と認識しているのは、良い点だと思います。
⇒“安定性・継続性を考慮し”と、さらっと書かれていますが、重要なキーワードです。
⇒安定性・継続性とは、年ごとに大幅に配当金を上下させるのではなく、文字通り安定して配当金を継続的に出すという意味です。
例えば、下記の①ではなく、②のような配当金推移の場合、安定性・継続性があると言えます。
×①1年目20円→2年目50円→3年目10円→4年目0円→5年目20円
○②1年目20円→2年目20円→3年目25円→4年目28円→5年目30円
⇒私は、配当金については、年ごとに大きな変動をするのではなく、長期的に緩やかに右肩上がりで配当金額が上がって行くことを希望しています。
よって、安定性・継続性という配当方針は、ありがたいと考えています。
4.JT
「強固な財務基盤を維持しつつ、中⻑期の利益成⻑に応じた株主還元の向上
・1株当たり配当⾦の安定的/継続的な成⻑
・引き続きグローバルFMCG*の還元動向をモニタリング
*ステークホルダーモデルを掲げ、⾼い事業成⻑を実現しているグローバルFMCG(Fast Moving Consumer Goods)企業群」
⇒JTにおいても、“配当⾦の安定的/継続的な成⻑”のキーワードがあり、好ましいポイントです。
⇒“グローバルFMCGの還元動向をモニタリング”との記載があります。
グローバルFMCGとは、飲料、食品、化粧品、トイレタリーなどの比較的短期間で消費される製品(生活必需品・日用消費財)を製造販売する企業のことです。
JTは名指しはしていませんが、グローバルFMCGの代表的な企業としては、P&G、ジョンソン・エンド・ジョンソン、コカ・コーラなどが挙げられます。
グローバルFMCG企業は、高配当や何十年も続く連続増配で有名ですので、
これらの還元動向をモニタリングする(=グローバルFMCG並みの株主還元を目指していくと解釈できると考えています)というJTの方針は、株主にとってありがたいです。
5.キヤノン
「当社は、中期的な利益見通しに加え、将来の投資計画やキャッシュ・フローなどを総合的に勘案し、配当を中心に、安定的かつ積極的な利益還元に取り組むことを基本方針としております。」
⇒“安定的”に加えて、“積極的な利益還元”という言葉がある点が、株主にとって嬉しいポイントです。赤字が何年も続くとか、よほどのことがない限り、減配はしないんだろうなという安心感もありますね。
⇒実際、キヤノンは30年以上の長きにわたり、減配をしていないという事実があります。
そして、この事実をキヤノンのホームページにて、以下のような表現で掲載しています。
「1988年以降、30年以上にわたって一度も減配することなく着実に増配・配当の維持を行ってきました。」
まとめ
高配当株への投資は、高利回りの配当金を得ることが主な目的となるため、その企業の配当方針が非常に重要になります。
配当方針の文章を読めば、その企業の株主還元への考え方が透けて見えてきて、興味深いですし、結構面白いです。もちろん、投資成果にも結び付きます。
上場企業はたくさんありますが、皆さんも、ご自分のお気に入りの配当方針を、ぜひ見つけてみてください!
今日も配当生活への道を一歩ずつ進む、ショウでした!
コメント