※本記事は、2022年版に更新しました。下記ご参照ください。
上場企業各社の配当方針(株主還元方針)には、株主への利益還元姿勢に関する、その企業の経営陣の考え方・企業文化が表現されています。
各社がホームページや決算資料などで公開している配当方針は、株主や投資家に対する対外的な約束ですから、その企業にとって非常に重いものです。
配当方針の作成にあたっては、各社が細心の注意を払って作っています。
配当方針の文言を注意深く読むことで、その企業の本気度・本音が見えてきて、高配当株の投資先の選択に役立ちます。
以下で、累進配当ブラザーズの配当方針をチェックして、内容確認してみたいと思います。
いろんな企業が、配当方針について、どのような書き方で表現しているかを比べてみると、なかなか楽しくて面白いですし、何より投資の役に立ちます!
高配当株各社の配当方針
1.三井住友フィナンシャルグループ
「株主還元は、配当を基本に、機動的な自己株取得も実施してまいります。配当は累進的とし、配当性向は2022年度までに40%を目指してまいります。
また、自己株取得は、資本の状況、業績動向、当社株価の水準、成長投資機会、資本効率向上等を考慮し、判断いたします。」
⇒累進配当とは、減配をせずに、前年配当と同額または増配を行うという、素晴らしい配当方針のことです。
⇒三井住友FGの配当方針の特長は、なんと言っても、累進配当を行うことを明記している点です。
つまり、対外的に累進配当政策を公約しているわけですから、株主としては、減配を心配せずに安心して、同社株式を保有することができます。
もちろん、累進配当の方針が変更される可能性はゼロではありませんが、対外的に宣言しているため、簡単に変更されることはないと考えています。
⇒配当性向40%への引き上げを目指している点も好ましいです。
配当性向とは、稼いだ利益のうち、どれくらいを配当金として支払うかの割合です。例えば、配当性向40%であれば、稼いだ利益の40%を配当金として株主に支払うという意味になります。
2.三菱商事
「配当は、持続的な利益成長に合わせて増配していく「累進配当」を継続し、配当性向を現在の30%から将来的に35%程度に引き上げていくことを目指します。」
⇒結構あっさりした記載ですが、やはりポイントとなるのは、三菱商事は累進配当を明記し、対外的に累進配当政策を宣言しているという点です。
この公約が変更されない限り、株主として、安心して三菱商事の株式を持つことができますね。
⇒配当性向の引き上げを目指すことを、明言している点も好ましいです。
3.NTT
「株主還元の充実は、当社にとって最も重要な経営課題の一つです。継続的な増配の実施を基本的な考えとし、また自己株式取得についても機動的に実施することで資本効率の向上を図っていきます。
1株当たりの配当額については、2020年度の配当は105円(対前年度+10円)を予定しており、10期連続の増配となります。2003年度比で見れば、約8倍に拡大しています。また、自己株式取得については、2019年度に過去10年間で最大となる約5,000億円(約1億株)を市場及び政府から取得しており、累計取得額は4兆円を超えています。取得した自己株式は定期的に消却しており、消却累計数は、過去10年間で発行済株式数の約30%に達し、中期経営戦略のメインの指標であるEPS成長にも大きく寄与しています。」
⇒“株主還元の充実は、当社にとって最も重要な経営課題の一つ”と、NTTが認識しているのは、良い点だと思います。
⇒“継続的な増配の実施を基本的な考え”とすると書かれていますが、重要なキーワードです。
これの意味するところは、基本的に毎年増配を行うということであると考えられます。
基本的というワードがあるため、例外の年(増配を行わない年)もあり得るとの表現ではあるものの、株主還元への本気度を感じる、株主にとってありがたい方針です。
実際、上記引用の後半部分にあるように、NTTは10期連続で増配を実施してきた実績があります。
4.三菱UFJリース
「三菱UFJリースでは、持続的な成長により企業価値を高め、株主・投資家のみなさまへ継続的かつ安定的な配当による株主還元を行っています。」
⇒“継続的かつ安定的“とは、年ごとに大幅に配当金を上下させるのではなく、文字通り安定した状態で配当金を継続的に出すという意味です。
例えば、下記の①ではなく、②のような配当金推移の場合、継続的かつ安定的な配当と言えます。
×:①1年目20円→2年目50円→3年目10円→4年目0円→5年目20円
○:②1年目20円→2年目20円→3年目25円→4年目28円→5年目30円
⇒私は、配当金については、年ごとに大きな変動をするのではなく、長期的に緩やかに右肩上がりで配当金額が上がって行くことを希望しています。
よって、継続的かつ安定的という配当方針は、ありがたいと考えています。
⇒さらに、三菱UFJリースは、決算資料(16ページ目)において、
「株主還元は継続的かつ安定的な配当で行うという基本方針と21期連続増配の実績も尊重し、1株当たり年間配当金予想は前期比50銭増配の25円50銭とする。」
と述べています。
三菱UFJリースは、上記の通り、連続増配記録を更新中であり、配当の意思決定の際には、連続増配の実績をストップさせたくないという経営陣の意向も働きます。この点も、株主にとって好ましいと考えています。
5.東京海上ホールディングス
「当社では、株主還元は配当を基本として、利益成長に応じて配当総額を持続的に高めてまいります。自己株式の取得は中長期的に株主価値を高める観点から、「健全性」と「資本効率」をふまえつつ、市場環境や資本水準、事業投資機会等を総合的に勘案し、機動的に実施することとしています。」
⇒“配当を基本”、“配当総額を持続的に高める”という言葉がある点が、嬉しいポイントです。
⇒「持続的に」とは、「継続的に」と同様の意味と考えられますが、どちらかと言うと私は、持続的の方が、より積極的なニュアンスが感じられて好きです。
まとめ
高配当株企業への投資は、高い利回りの配当金を長期的に継続して受け取ることが主な目的となります。
そのため、投資対象となる高配当株企業の配当方針を把握しておくことは、非常に重要です。数十年にもわたる、長~~~~~いお付き合いになる可能性もありますから。
配当方針の文章を読めば、その企業の株主還元への考え方が透けて見えてきて、興味深いですし、結構面白いです。もちろん、投資成果にも結び付きます。
上場企業はたくさんありますが、皆さんも、ご自分のお気に入りの配当方針を持つ企業を、ぜひ見つけてみてください!
今日も配当生活への道を一歩ずつ進む、ショウでした!
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