高配当株の配当利回りには、いろいろな幅があります。
配当利回りが2%程度のものもあれば、6%を超えるものもあるなど、さまざまです。
今回は、優良な高配当株10社について、現在の配当利回りの水準が、過去10年の水準と比較して割安なのかどうか、検討してみました。
配当利回りの式
配当利回りは、以下の式で計算されます。
●配当利回り=1株当たり配当金/株価
⇒つまり、配当利回りがアップするのは、
①配当金が増えるか、または②株価が下がった場合です。
⇒配当利回りが高い株を見つけた時、①と②のどちらが原因なのか、見極めることが大切になります。
⇒理想は①ですが、②が全て駄目というわけではありません。
株式市場全体の下落や、業績に大きな問題がないのに、大口投資家の思惑や外部環境要因で、株価が一時的に下がっている場合もあるからです。この場合、いずれ株価は上昇していきますから、大きなチャンスとも言えます。
なお、①②の両方が原因で、配当利回りがアップしている場合もあります。
累進配当ブラザーズ5社の水準について
優良な高配当株の代表として、まず累進配当ブラザーズの5社について、現在の配当利回りの水準を、過去10年の水準(ここでは各年末時点)と比較して検討します。
なお、以下では株式分割を考慮した調整後の数値となっています。
累進配当とは、減配をせず、少なくとも前年と同額の配当か、または増配を行う、素晴らしい配当方針のことです。
この累進配当を長年継続している、以下の5社を、私は累進配当ブラザーズと呼んでいます。
1.JT
JTの過去10年について、年末時点の株価・配当金・配当利回りをまとめたグラフです。
※現時点(2019年8月23日現在)の配当利回り6.9%・株価2,229円
⇒配当利回り(赤線、右軸):過去10年きれいに右肩上がり。10年間で見ると、現時点の配当利回りが一番高い水準。
⇒配当金(緑の棒):毎年増配で順調に増加。素晴らしい実績。ここ10年、減配なし。現在の配当金は、10年前の約5倍に増加。
⇒株価(青線、左軸):上昇していた株価が2015年を境にして下落傾向に。JTの業績は比較的堅調ですが、為替要因や、タバコ事業自体を敬遠する機関投資家などに、株価は大きく影響されていると考えられます。
2.キヤノン
※現時点(2019年8月23日現在)の配当利回り5.8%・株価2,761円
⇒配当利回り:ほぼ右肩上がり。過去10年では、現時点の配当利回りが一番高い水準。
⇒配当金:累進配当を継続しながら、じりじりと少しずつ増加。ここ10年、減配なし。
⇒株価:上下動しつつ、おおむね横ばいでしたが、直近では下落傾向。19年7月に、業績下方修正も発表。今後の業績推移、及び配当金が維持されるかに注目。
3.ドコモ
※現時点(2019年8月23日現在)の配当利回り4.5%・株価2,616円
⇒配当利回り:12年末の4.8%が最も高く、次いで現時点の4.5%という水準。
⇒配当金:過去10年、順調に増加。ほぼ毎年のように増配。さすがキャッシュリッチな携帯電話事業。ここ10年、減配なし。配当金は、10年前の約2.3倍に増加。
⇒株価:おおむね右肩上がり。
4.三菱商事
※現時点(2019年8月23日現在)の配当利回り4.8%・株価2,578円
⇒配当利回り・配当金:ここ10年を見ると、乱高下しています。これは、以前は、三菱商事の配当が業績連動だったためです。
しかし、16年5月に、累進配当政策の採用を対外的に宣言。以降は、配当金・配当利回りともに、順調に右肩上がりです。
配当利回りの水準は、過去10年では、現時点の4.8%が一番高い水準。
⇒株価:過去10年、おおむね右肩上がり。
5.三井住友フィナンシャルグループ
※現時点(2019年8月23日現在)の配当利回り5.1%・株価3,470円
⇒配当利回り:13年末に、いったん下がりますが、おおむね右肩上がり。ここ10年で、現時点が一番高い水準
⇒配当金:累進配当政策を対外的に宣言していますので、配当金は順調に増え続けています。ここ10年、減配なし。
⇒株価:13年末に高くなった後、日銀のゼロ金利・マイナス金利政策もあり、徐々に下げています。
その他の優良な高配当株5社の水準について
6.三菱ケミカルホールディングス
※現時点(2019年8月23日現在)の配当利回り5.6%・株価711円
⇒配当利回り:おおむね右肩上がり。17年末以降、高い伸びを見せていて、過去10年では、現時点が一番高い水準。
⇒配当金:順調に右肩上がり。ここ10年、減配なし。特に、16年末以降の増配率が高い。配当金は、10年前の5倍に増加。
⇒株価:17年末まで右肩上がり、以降は下落傾向。
7.オリックス
※現時点(2019年8月23日現在)の配当利回り5.2%・株価1,536円
⇒配当利回り:順調に右肩上がり。過去10年では、現時点が一番高い水準。
⇒配当金:順調に右肩上がり。ここ10年、減配なし。配当金は、10年前の10倍以上に増加。
⇒株価:おおむね右肩上がり。17年末以降、下落傾向。
8.ブリヂストン
※現時点(2019年8月23日現在)の配当利回り4.0%・株価3,995円
⇒配当利回り:順調にほぼ右肩上がり。過去10年では、現時点が一番高い水準。
⇒配当金:順調に右肩上がり。ここ10年、減配なし。配当金は、10年前の10倍に増加。
⇒株価:おおむね右肩上がり。17年末以降、下落傾向。
9.積水ハウス
※現時点(2019年8月23日現在)の配当利回り4.3%・株価1,872円
⇒配当利回り:おおむね右肩上がり。18年末の4.8%が最も高く、次いで現時点の4.3%という水準。
⇒配当金:順調に右肩上がり。ここ10年、減配なし。配当金は、10年前の約8倍に増加。
なお、2010年末の配当金21円には、創立50周年記念配当5円が含まれるため、普通配当は16円。
⇒株価:おおむね右肩上がり。17年末以降、下落傾向。
10.東京海上ホールディングス
※現時点(2019年8月23日現在)の配当利回り3.4%・株価5,525円
⇒配当利回り:少しずつ上昇傾向。一時的な配当を含むため、18年末の配当利回りが高くなっているが、この特殊要因を除けば、過去10年では、現時点の配当利回り3.4%が一番高い水準。
⇒配当金:順調にほぼ右肩上がり。ここ10年、減配なし。配当金は、10年前の約3.8倍に増加。
なお、18年末の配当金250円には、資本水準調整のための一時的な配当70円を含むので、普通配当は180円。
⇒株価:おおむね右肩上がり。
まとめ
今回検証した10社の推移を見ると、現在の配当利回りの水準は、過去10年と比べても、ほぼ最高レベルの水準であることが分かります。
つまり、これらの高配当株は、お買い得な水準にあります。
もちろん、過去と比べての話ですから、今後どうなっていくかは、自分で推測・予想していくしかないですよね。
この10社は、三菱商事を除き、ここ10年の間、普通配当の減配をしていません。三菱商事も累進配当政策を宣言した後は、減配なしです。
これらの実績から、10社の株主還元への意識の高さ・配当への強いこだわりを、私は感じています。
私は、リスク分散も考慮して、この高配当株10社に対し、均等になるように、今後投資していこうと考えています。1社に対して、投資資金合計の10%を投入します。
万が一、いずれか1社が減配しても、全体の10%ですから、ダメージも抑えられます。
この方法で、現在のお得な水準にある、高い配当利回りのメリットを、最大限に受取りたいと思います。
良かったら、皆さんも、上記10社のグラフをじっくりと眺めながら、あなた自身の今後の投資戦略を考えてみてください。
今日も配当生活への道を一歩ずつ進む、ショウでした!
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