突然ですが、私は高配当株が大好きです。高配当株投資には、メリットや有利な点がたくさんあります。
一方、世間では、高配当株はダメだ、非効率でおすすめしない、高配当株はやめとけなど、ネガティブな意見も聞かれます。
そこで、今回は、高配当株のデメリットについて考えてみました。
一般によく言われる高配当株のデメリットにはどのようなものがあって、その指摘は本当にそうなのか、検証しています。
果たして、結果はどうなるでしょうか?
なお、できるだけ中立的観点で書いたつもりですが、冒頭で告白しましたように、私は高配当株大好き党に所属していますので(笑)、何か不手際がございましたら、ご容赦頂ければ幸いです。
代表的な高配当株のデメリット
高当株をおすすめしない理由・デメリットとして、よく言われる代表的なものには以下が挙げられます。
➀減配リスクがある
②高い配当利回りだけを見て買うと損をしやすい
③配当金を受け取るたびに課税されるので不利(複利効果が減る)
④キャピタルゲイン(売却益)を得にくい
上記のデメリットについて、次項目以降で詳しく見ていきたいと思います。
デメリットについて考える際のポイント
上記の高配当株のデメリットそれぞれについて考える時に、ポイントとなるのは、「何と比べてデメリットと言っているのか。比較対象は何なのか。」という視点です。
例えば、高配当株とインデックス投資を比べてデメリットだと言ってるのか、それともグロース株と比べてるのか、そもそも比較できるケースなのか、比較することは正しいのか、などなどの視点を持って考えてみることがポイントです。
高配当株へのネガティブ意見の中には、この比較対象が不明瞭であることが多いので、何と比べているかを意識すると、より分かりやすくなります。
デメリット①について
「➀減配リスクがある」についてです。
高配当だと思って買ったら、業績が悪化して、配当金が減らされたり、無配になったりするリスクです。
でも、この減配リスクって、高配当株だけのリスクでしょうか?
現在無配の企業を除けば、どの企業の株を買っても生じるリスクですよね。業績が悪くなれば、どんな企業でも減配する可能性はあります。
だから、この①のリスクを、高配当株だけのデメリットのように言うのは変な話です。大多数の企業にあてはまるリスクなのですから。
減配リスクを避けるには、投資する前に、業績をきちんとチェックすることが大事です。
デメリット②について
次に、「②高い配当利回りだけを見て買うと損をしやすい」についてです。
これは、もうデメリットというより、単に注意事項だと思います。
単純に、“高い配当利回りだけ“を見て買うと危険ですよ、業績や他の投資指標も合わせてしっかり見ましょう、ということですね。
配当利回り=配当金/株価 で計算しますから、株価が大きく下げた場合も、配当利回りが高くなります。
そして、株価が大きく下げる背景には、通常は業績の悪化・悪化の見込みがありますので、単純に高い配当利回りだけで飛びつくのは危ないです。
例えば、配当利回りが8%の株を見て、これは良いなと思って、飛びつき買いをした後、業績予想の下方修正や減配が発表されて、株価が暴落するといったケースです。
でも、これって、今どきこんな飛びつき買いをする人がいますかっていうくらいの話だと思います。いたとしても、それはその人の注意力や勉強が不足しているだけであって、高配当株のせいではないでしょう。
多くの投資家は、配当利回りだけで判断しません。業績や他の投資指標もチェックします。
この②は、株式投資を始めたばかりの超初心者の方に向けた注意事項としては非常に良いことですが、高配当株のデメリットとして強調するのは、少しアンフェアではないでしょうか。
繰り返しますが、この②は高配当株のデメリットではなく、超初心者向けの注意事項に過ぎないと考えています。
デメリット③について
「③配当金を受け取るたびに課税されるので不利(複利効果が減る)」についてです。
これは、頻繁に言われる高配当株のデメリットです。
配当金には約20%の税金がかかります。ですので、配当金が100円だったとしても、私たちの手元に残る手取りの配当金は、税金を差し引かれた後の80円です。
この③のデメリットについて、よく見かける議論のケース例としては、以下のようなものがあります。
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【よく見かける事例】
初年度に100万円を投資した場合、高配当株(配当利回り4%)とインデックス投資(年4%で上昇、分配金を出さない)の10年後はそれぞれいくらになっているか。
高配当株の10年後→132万円
インデックス投資の10年後→142万円
だから、高配当株は配当金を出すたびに課税される分、インデックス投資よりは不利。分配金を出さない(=課税されず複利で成長)インデックス投資がやっぱり最高だ!
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⇒上記の事例は合っているのでしょうか、正しいのでしょうか。この事例の変なところを下記で確認していきたいと思います。
まず、前提条件の確認です。
10年後に当初投資額100万円が、高配当株→132万円となっていますので、以下の前提条件であることが推定されます。
・配当利回り4%なので、100万円×4%×税引後80%=毎年3.2万円の手取り配当金
これが10年分で32万円。
・当初投資時の株価と10年後の株価は同じで、当初投資額100万円+上記32万円の配当金=132万円 が10年後の価値という計算。
インデックス投資→142万円 は、複利4%で、当初投資額100万円×1.04×1.04×・・・を繰り返すと、10年後に142万円になるという計算。
●上記事例のおかしな点
1.売却時の課税を忘れている
たとえ、分配金を出さないインデックス投資信託であっても、将来お金が必要な時には売却しないと使うことができません。当たり前のことです。
そして、その売却時に売却益が出れば、課税されます。
このインデックス投資の売却時の課税分を全く考慮せずに、高配当株の配当金に関する課税だけを考慮するのは、非常にアンフェアなやり方です。
比較する場合は、あくまでトータルリターン(配当金・売却益・税金を含めて、最終的に受け取るリターンの合計額)で比べるべきです。
こんなに当然のことなのに、インデックス投資の売却時の課税を考慮しないのは、忘れているというより、わざと触れないようにしているケースもあるのかもしれません。
売却時の課税を考慮すると、上記事例では、インデックス投資は10年後に142万円になっているので、増えた42万円に20%課税されますから、手取りの利益は、42万円×税引後80%=33万6千円 になります。
よって、インデックス投資の10年後は133万6千円です。
これは、高配当株→132万円とほとんど変わりません。10年後に1万6千円の差は、ほぼ誤差と言ってもいいかもしれません。
なお、ここでは公平に高配当株も10年後に売却した額で比較しますが、上記前提の通り、高配当株の時価は100万円で変わらない前提(=利益はないから売却時課税もゼロ)ですから、高配当株の10年後は132万円で変更はありません。
2.10年間連続の配当据え置きで増配無し
上記事例では、10年間ずっと配当金も株価も変わらない前提です。これは、ダメダメな高配当株ですね。
確かに、高配当株の中には、結果的にそのような情けない状況になる銘柄もあるかもしれません。
しかし、優良な高配当株では(いや普通の高配当株であっても)、10年間配当据え置きで増配無しというケースはほとんどありません。
通常は、10年あれば、何回かは増配が実施されます。
例えば、上記事例の前提を少しだけ変更して、平均の増配率が年1%の高配当株だったとすれば、上記事例の高配当株→133万5千円となります。
なお増配率1%とは、前期配当金が100円だった場合、今期配当金が101円に増配されるということですので、ごく普通にあり得るケースです。むしろ、1%以上の増配率になることも全く珍しくありません。
さらに、当たり前のことですが、増配があれば、通常は株価も上昇します。
ここで確認ですが、上記1のポイントを考慮した場合、インデックス投資の10年後は133万6千円でした。
一方、この2のポイントを考慮して、増配率を年1%とした場合、高配当株の10年後は133万円5千円でした。
この時点で、インデックス投資と高配当株の10年後に、ほぼ差はありません。
そして、高配当株の方には、さらに、増配による株価上昇が追加されるわけですので、高配当株がインデックス投資を上回ってきます。
現実の高配当株の配当実績と比べて、非常に低い増配率1%というケースを想定したとしても、試算上、高配当株の方がインデックス投資に勝つことになります。もし増配率2%以上なら圧勝です。
そもそも、もとの上記事例では、株式市場全体の動きを示すインデックス投資が年4%で毎年毎年上昇していく前提なのに、高配当株の方は配当金10年据え置きで増配無しという、全くアンフェアな想定です。
この不公平な想定を少し現実に近づけるだけでも、高配当株の数字がインデックス投資を逆転します。
また、上記事例では、インデックス投資が何の指標に連動するものか分かりません。
ですが、仮に、日経平均225に連動するインデックス投資であると想定した場合、優良な高配当株である三菱商事や三井住友FGは、日経平均225の採用銘柄として含まれているわけです。
ですので、インデックス投資が毎年毎年4%で成長する(≒インデックスを構成する企業合算の利益が増える)のに、そのインデックスに含まれている優良な高配当株の配当が10年据え置きというのは、あり得ないとは言いませんが、考えにくいです。
上記事例のように、毎年成長する前提のインデックス投資と比較する対象として、わざわざダメダメな高配当株(配当10年据え置き)を持ってくるのは、現実的ではなく、やっぱり不公平だと考えます。
インデックス投資が毎年成長する前提なのであれば、比較する高配当株もせめて少しは増配する前提にするのが公平ですよね、という考え方です。
これは、そのインデックスが米国株でも、考え方は同じです。
例えば、S&P500指数に連動するインデックス投資を想定するなら、そのS&P500指数には優良な高配当株のコカ・コーラやエクソンモービルなどが含まれています。
デメリット④について
「④キャピタルゲイン(売却益)を得にくい」についてです。
高配当株は、成熟した大企業であることが多く、利益成長も緩やかであり、株価が大幅に上昇すること(例えば株価が10倍になることなど)は起こりづらく、キャピタルゲイン(売却益)が得にくい、と言われるデメリットです。
ここで考えておきたいのは、このデメリット④は、高配当株と何を比較しているのか、何を念頭に置いているのか、という点です。
それは、グロース株(成長株)ですね。例えば、新興市場の小型株・中型株などです。
けれども、グロース株と比べたら、株価の上昇が鈍いという点は、インデックス投資も同じです。
このデメリット④については、高配当株とインデックス投資を比較する場合、両者の優劣に差はないことになります。
高配当株とグロース株を比較する場合は、高配当株にはこのデメリット④が該当します。
一方、グロース株には、株価の上下が激しく不安定、大きな損失になりやすい、配当が無いor少ない、株価が上昇する銘柄選択が困難、など様々なデメリットが他にあります。
このデメリット④をもって、グロース株が高配当株より有利ということにはなりません。
なお、キャピタルゲイン(売却益)を得にくいと思われがちな高配当株ですが、例えば、直近10年間で、高配当株の三菱商事は株価約2.8倍、東京海上HDは株価約3.6倍になっています。
この株価上昇の度合いは、高い利回りの配当金も重ねて受け取っていることを考えれば、十分な上昇とも言えると思います。
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まとめ
今回は、高配当株のデメリットについて、考えてみました。
上記のように、高配当株のデメリットだとよく言われる点も、検証してみれば、一方的に高配当株のデメリットと言えるものではないことが分かりました。
特に、配当金を受け取るたびに課税されるので不利との指摘は、本当によく見かけますが、インデックス投資側の売却益に対する課税を考慮していない不公平なケースが圧倒的多数です。
高配当株のデメリットに関することばかり、今回は述べてきましたが、下記の記事で高配当株のメリット・魅力についても、ぜひ知って頂けたら嬉しいです。
今日も配当生活への道を一歩ずつ進む、ショウでした!
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