高配当株の23/3期の中間決算(2022年4月~9月)発表が、一通り終了しましたので、結果の概要をまとめ、今後の投資方針を考えてみました。
高配当株の中間決算発表の結果
ここでは、下記の高配当株8社を取り上げます。
下記の高配当株8社について、23/3期の中間決算(2022年4月~9月)発表の結果は、以下の通りです。なお、INPEXは12月本決算なので、22/12期の第3四半期決算(2022年1月~9月)の結果になります。
【結果】
オリックス→△
稲畑産業→△
三菱商事→○
NTT→○
INPEX→○
三菱HCキャピタル→○
三井住友FG→◎
東京海上HD→△
⇒◎○△×のマークで評価しています。
⇒△は普通くらいの意味ですが、今後の業績動向に留意。○は良好な決算結果で、今後の増配にも期待です。
各社の中間決算発表の概要
オリックス→△
・中間期は増収減益決算
・売上高は増収だが、保険事業でのコロナ給付金費用が重しとなり減益
・23/3期通期の純利益予想は2,500億円(前期比マイナス20%)
・配当予想は直近予想からの変更無し
⇒オリックスの配当予想は、「前期22/3期配当の85.6円または配当性向33%のいずれか高い方」です。
いずれか高い方ですから、今期23/3期の配当金は、前期配当の85.6円を下回ることはありません。つまり、オリックスは最低でも85.6円以上の配当を支払うと宣言しています。
この点は、減配しないという意味と同じですから、株主としては嬉しいですね。
そして、前期22/3期の当期純利益3,121億円をベースに配当性向33%で計算すると、配当が85.6円になります。
よって、配当性向33%で計算して配当85.6円以上になるためには、前期22/3期の当期純利益3,121億円を上回ることが必要です。
すなわち、今期23/3期配当が増配となる(前期配当85.6円以上となる)ためには、今期23/3期の当期純利益が3,121億円以上になる必要があります。
⇒一方、上記の通り、オリックスの今期23/3期通期の当期純利益予想は2,500億円です。これから下期(10月~3月)にかけて、かなりの上積みがないと、3,121億円には届かないと思われます。
そのため、上記の通期予想通りになるのであれば、今期の増配は難しそうです。
⇒ただし、オリックスは、中期目標として25/3期当期純利益4,400億円を掲げており、この数字に変更はありません。
この中期目標を達成する過程で、24/3期には3,121億円を上回る純利益をあげて、増配をしてくれるのではないかと期待しています。
稲畑産業→△
・増収減益決算なるも、中間期での進捗はほぼ会社計画通り
・通期業績予想と配当予想は、変更無し
⇒中間期での減益は、前年同期に65億円の投資有価証券売却益(今中間期は34億円)を計上している影響もあります。
⇒今期23/3期通期の業績予想は、もともと減益予想であり、中間期の数字は事前の会社計画に近いため、下期での上積みを期待したいです。
三菱商事→○
・大幅な増収増益決算
・23/3期通期の業績予想を上方修正。通期の当期純利益予想は1兆300億円と過去最高!
・配当予想も155円(←直近予想150円)に増配!
・今期2度目の自社株買い(上限700億円)も決定(1度目は700億円)
⇒通期業績予想の上方修正・増配・自社株買いのトリプルコンボで、素晴らしい!
⇒業績予想の割に増配の額が物足りないとの声もありますが、中間決算説明資料には、株主還元について、「追加の還元幅は、中経2024の方針に基づき、年度後半にかけて見定める」と明記されています。
下期にかけて、追加の増配発表を大いに期待しています。
NTT→○
・増収増益決算で、中間期の純利益として過去最高を更新!
・23/3期通期の業績予想と配当予想は、変更なし
・今期2度目の自社株買い(上限1,500億円)も決定(1度目は4,000億円)
⇒通信業界の巨人 NTT、さすがの安定感です。
⇒通期純利益予想1兆1,900億円に対する中間期時点の純利益6,966億円の進捗率も58%と、50%以上に達していて順調です。今後の進捗次第で、増配も十分期待できると考えています。
INPEX→○
・大幅な増収増益決算 ※INPEXは12月決算のため今回は3Q決算発表
・純利益は前年同期比94%増の大幅プラス
・22/12通期の業績予想を上方修正!(今期2度目)
・配当予想は、直近予想からの変更なし
⇒今回の第3四半期決算発表では、業績予想を上方修正するも増配は無しなので、残り3か月(10月~12月)の業績・原油価格次第で、追加の増配の可能性も考えられます。
三菱HCキャピタル→○
・営業利益は前年同期比27%増の大幅増益
・一方、純利益は前年同期比4.5%増となっているが、これは前期に有価証券売却益267億円を計上しているため。実質的には、純利益も前年同期比で大幅増益
・通期業績予想と配当予想は、変更無し
・通期純利益予想に対する中間期時点の進捗率は57%と順調
⇒三菱HCキャピタルは、23年連続増配中で、今期23/3期配当予想も31円(←前期28円)と増配予想です。下期の業績の上積み次第で、さらなる増配もあり得ると考えています。
三井住友FG→◎
・増収増益決算
・純利益は前期比15%増のプラス
・23/3期通期の業績予想を上方修正し、配当予想も230円(←直近予想220円、前期210円)に増配!
・来年5月末までの半年間で、上限2,000億円の自社株買いも発表
⇒通期業績予想の上方修正・増配・自社株買いのトリプルコンボで、素晴らしい!
⇒増配の額も、前期配当から20円アップ(増配率9.5%)と高い水準。自社株買いも合わせて、同社の株主還元意識の高さが現れていて、非常に良い内容だと考えています。
東京海上HD→△
・中間期は増収減益決算
・台湾コロナや自然災害等の一過性の保険金支払いの費用で、23/3期の通期業績予想を下方修正
・ただし、配当予想は100円で変更なし(前期85円からの増配予想100円はそのまま)
・一過性の費用影響を除く、通常ベースでの業績基調は引き続き良好で、特に海外主要拠点は好調とのこと
・今期2度目の自社株買い(上限500億円)も決定(1度目は500億円)
⇒業績予想の下方修正も、一過性の費用が原因であり、通常ベースでの業績や東京海上HDの強固な財務基盤を考慮すると、大きな問題にはならないと考えます。
⇒中間決算の説明資料に、下記のような記載があります。
「2022年度DPS(1株当たり配当金)は100円(前年比+18%)を維持し、2023年度以降も、配当原資の移動平均的拡大と配当性向引上げ(2022年初:48.5%→2023:50%)を背景に、持続的にDPSを引き上げていく(原則、減配はしない)」
同社の増配への積極姿勢が現れていて、非常に好ましいです。特に最後の “原則、減配はしない” とまで言ってくれている点が、株主として嬉しいし心強い。
今後の投資方針
上記の中間決算(or 3Q決算)の結果に対する評価と、現時点(2022年11月21日)の配当利回りとを並べて、今後の投資方針を考えてみます。
オリックス→△ 4.0%
稲畑産業→△ 4.8%
三菱商事→○ 3.5%
NTT→○ 3.1%
INPEX→○ 4.0%
三菱HCキャピタル→○ 4.9%
三井住友FG→◎ 5.0%
東京海上HD→△ 3.6%
⇒まずは、中間決算結果が◎で、配当利回りも5%超と非常に高い三井住友FGが、優先順位第1位の投資先候補です。
⇒優先順位第2位は、三菱HCキャピタルを選びました。安定した決算結果と、配当利回りの高さ(4.9%)、連続増配記録の継続を期待して、投資していきたいです。
⇒優先順位第3位は、三菱商事です。この下期に、追加の株主還元が実施される可能性が高いと考えられます。また、直近の2022年11月に、あの世界最高の投資家ウォーレン・バフェット氏が三菱商事株式を買い増した点も好材料です。
⇒当面は、上記の第1位~第3位の銘柄を中心に買い増しを行っていく方針で、投資したいと思います。
それ以外でも、上記の高配当株たちについては、配当利回りが4%を超えている場合は割安な株価水準だと考えているので、ウォッチしていきます。
まとめ
今回2022年11月に発表された、高配当株各社の中間決算発表の結果は、上記の通りとなりました。
各社ごとにプラスマイナスはありますが、減配もなく、逆に増配した企業もあり、全体的に考えると、どちらかというと良い結果だったと思います。
ただ、ここで心に留めておきたいことがあります。
企業の決算発表は、四半期の3か月ごとに行われますので、ともすると目線が短期的になりがちで、たった3か月の結果で一喜一憂しがちです。
しかし、高配当株へ投資する目的は、コツコツと配当金を積み上げて、長期的に高配当株を保有し、生涯にわたって積み重なっていく、莫大な配当金を受け取ることです。
四半期決算の結果が良かった時は、素直に喜べばいいと思いますが、決算が良かった時も悪かった時も、長期的な目線を忘れずに、投資判断をしていきたいと思います。
今日も配当生活への道を一歩ずつ進む、ショウでした!
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