東京海上ホールディングスの2024年3月期本決算の発表がありましたので、2024年版の内容に更新しました。
8766東京海上ホールディングスは、高配当株の一つであり、私も現在保有しています。
本ブログに書きました、高配当株買いの4つの基準に照らして、東京海上ホールディングスを検討します。
基準1.配当利回りが3%以上(税引前)
東京海上ホールディングスの予想配当利回りは、約2.8%です。
配当利回り3%を切っていますが、できるだけ3%超の水準での買いを狙うことを前提に、下記の基準2~4を総合的に勘案した上で、基準1は△とします。
※配当利回り=配当金÷株価
上記の式で計算するので、配当金が増えるか、株価が下がれば、配当利回りはアップします。
基準2.直近5年以上、増配傾向が続いていること(最低でも前年の配当金額を維持していること)
東京海上ホールディングスの配当金の推移
2015年3月期:32円
2016年3月期:37円(前年比16%増)
2017年3月期:47円(前年比27%増)
2018年3月期:53円(前年比14%増)
2019年3月期:60円(前年比13%増)
2020年3月期:63円(前年比6%増)
2021年3月期:67円(前年比5%増)
2022年3月期:85円(前年比27%増)
2023年3月期:100円(前年比18%増)
2024年3月期:123円(前年比23%増)
2025年3月期予想:162円(前年比32%増)
※上記記載の配当金の額は、一時的な配当を含まない普通配当の数字で、2022年9月の1:3の株式分割の影響を調整後のもの
※普通配当とは別に、資本水準調整のための一時的な配当を、19/3期に23円、20/3期と21/3期にそれぞれ12円を実施(左記は1:3の株式分割考慮後の金額)
※2021年度に3回合計で上限1,000億円の自社株買いを発表
※2022年5月に上限500億円の自社株買いを発表
※2022年11月に上限500億円の自社株買いを発表
※2023年5月に上限500億円の自社株買いを発表
※2023年11月に上限700億円の自社株買いを発表
※2024年5月に上限1,000億円の自社株買いを発表
※2024年11月に上限1,200億円の自社株買いを発表
東京海上ホールディングスは毎年増配を継続している(普通配当ベース)ことから、基準2もクリアです。前年比20%を超える、大幅な増配率も素晴らしい。
これで、12年連続の増配、25/3期の配当予想も増配のため13年連続の増配見込みです。
東京海上ホールディングスは、東京海上と日動火災の共同持株会社(当時の社名はミレアホールディングス。2008年に現社名に変更)として、2002年に上場して以来、20年以上も減配していません。
コロナショックの中でも、力強く増配を続けてきました。経営陣の強い意志を感じます。
2024年5月の本決算発表では、上限1,000億円の自社株買い(2024年11月15日まで)を発表していますが、2024年度は年間で2,000億円の自社株買いを機動的に実施していく方針とのことです。
よって、今後2024年度中のどこかで、追加で残り1,000億円の自社株買いに関する発表があると想定されます。
→2024年11月19日、上限1,200億円の自社株買いが発表されました。
2024年5月20日、東京海上HDは、24/3期の本決算と25/3期の業績・配当予想、および新中期経営計画(25/3期~27/3期の3年間)を発表しました。
その中で、政策保有株式(≒いわゆる持ち合い株式)の削減と今後の配当について、以下のように説明しています。
※出所:東京海上グループの経営戦略(2024年5月24日)
⇒東京海上HDが保有する政策株式の残高は、2024年3月31日時点の時価で約3.5兆円。巨額の保有残高です。これを6年間(2030年3月31日まで)で、残高ゼロにするという方針です。
⇒上記資料には、「2024年度の売却予定額は、24.3末時価で6,000億円、簿価で530億円」とあります。
単純計算で 6,000億円-530億円=5,470億円 もの売却益が、東京海上HDの25/3期決算に利益として計上されることになります。
⇒上記資料によると、24年3月末時点の政策株式全体の時価が約3.5兆円・簿価0.4兆円ですから、3.5兆円-0.4兆円=約3.1兆円もの巨額の売却益が、今後6年間で計上されると想定されます。
平均して、1年当たり約5,000億円の株式売却益です。現在のような株式市場の好調が続いていけば、この売却益はさらに増えることも見込まれます(もちろん、反対に減少する可能性もあります)。
※出所:東京海上グループの経営戦略(2024年5月24日)
⇒そして、上記の政策株式の売却益は、配当にも使われます。
そのため、25/3期の配当予想は、1株当たり159円(前期24/3期配当は123円)と、増配率29%の大幅な増配予想となっています。
→2024年11月19日、25/3期の配当予想は162円に変更され、追加増配されました。
⇒この高い水準の株主還元・配当は、政策株式の売却益計上が続くと見込まれる今後6年間は継続すると考えられます。これは、株主にとって、非常に嬉しくありがたい高い水準です。
⇒一方、それでは、政策株式の残高がゼロになる予定の2030年3月末以降は、東京海上HDの純利益が大きく減少し、31/3期以降は減配になるのではないか?という疑問も湧きます
この点は、残高ゼロまであと6年もあるので、東京海上HDであれば、事業利益の成長で吸収できるから減配はしないだろうと期待したいところですが、今後の業績推移・政策株式の売却動向については、注意してモニタリングしていく必要があると考えます。
⇒上記の配当金の説明資料には、以下の文言が記載されています。
「EPS Growth(1株当たり純利益の成長)を裏付けとし、これと整合的なDPS Growth(1株当たり配当金の成長)は、向こう3年間も ”角度” と “確度” 高く実現できる」
「2024年度DPS(1株当たり配当金)は159円(前年比+29%)。今後も持続的に引き上げていく(原則、減配はしない)」
⇒配当金の成長=増配について、高い角度(※1)と高い確度(※2)で実現できると記載し、東京海上HDの強い自信がうかがえます。
※1:大きな増配率での大幅増配を続けるので、上記資料のグラフのように、配当推移グラフの角度が高く、急な勾配になること
※2:高い実現可能性があること
説明資料に、ダジャレを盛り込むなんて、さすが業界トップの東京マリーン!
オシャレでスマートですね(笑)
冗談はさておき、会社公式の投資家向け説明資料において、「高い角度と確度」のような言葉を用いるなんて、今後の増配の継続について、東京海上HDはよっぽどの自信と根拠があるのだと思います。
株主として、東京海上HDの株主還元姿勢は、頼もしい限りです。
ありがとう、東京マリーン!
「高い角度と確度」のダジャレ、大好きです!
東京海上ホールディングス経営陣の株主還元・配当への意識は非常に高く、コロナショックにおいても、そして、あのリーマンショックの時ですら、減配していません。
東京海上ホールディングスの増配傾向は続くと推定されます。
基準3.倒産リスクがほぼ無いと考えられること
東京海上ホールディングスは、売上高7兆円、時価総額11兆円、日経平均225銘柄の一つの超大企業であり、倒産リスクは限りなく低いと想定されます。
基準4.業績が好調または堅調であること
東京海上ホールディングスは、損害保険で国内首位のメガ損保会社で、傘下に生命保険会社も有しています。
海外進出にも積極的で、欧米を軸にアジアも含め海外M&Aで拡大を続けています。全体利益の半分以上を海外で稼ぐ、グローバルな体制を構築しています。
保険会社は、保険購入者から、まず保険料を ”先に” もらいます。
その後、数か月後か数年後か数十年後か分かりませんが、保険対象の事故が発生した場合に “だけ”、保険会社は保険金を、”後払いで” 保険購入者に支払います。
もちろん、何も起きなければ、保険会社は保険金を支払う必要はありません。
そして、保険会社は、受け取る保険料については、数学的・統計学的に事故の確率に関して、厳密な計算を行った上で、決定しています。
数学的に厳密に事故発生確率を計算して、自社が損をしないように、自社で保険料を設定しているわけです。
したがって、天文学的な確率の、めったに起こらない事故・災害が立て続けに何回も起こらない限り、保険会社が損をすることはありません。
このように、保険会社のビジネスモデルは、胴元である保険会社には、先にお金が入ってきて、支払いは後、または払わなくてもよいという、非常に有利でキャッシュリッチな事業です。
しかも、入ってくるお金(保険料)に利子を付ける必要もありません。
そのため、保険会社は非常にキャッシュが豊富で、常に投資先を探していますし、株主に支払う配当金のための現金もたくさん持っています。
こういった特長があるため、あのアメリカの著名投資家、ウォーレン・バフェット氏も保険会社が大好きです。バフェット氏も、これまでに保険会社に巨額の投資をしています。
こんなに有利なビジネスなんて、可能なら私も胴元になって、保険事業をやってみたいくらいです(笑)
東京海上ホールディングスの事業基盤は岩盤のように固く、業績の数字には、年により多少のアップダウンがありますが、業界首位の会社として、おおむね業績は堅調で、配当を維持できなくなるほど大きく悪化することはないと考えています。
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結 論
以上を総合的に考慮し、高配当株として、東京海上ホールディングスは買いと判断しています。
特に、毎年の連続増配・株主還元意識の高さと、保険事業の特性としてのキャッシュリッチ、すなわち配当金支払いのための現金を豊富に持っている点が、非常に魅力的です。
今日も配当生活への道を一歩ずつ進む、ショウでした!
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