先日、東証のフォローアップ会議において、中長期的な企業価値の向上、特にPBR1倍割れの上場企業に対する改善取組みが議論されていることを、下記のブログ記事にて書きました。
※PBR=株価純資産倍率(Price Book-value Ratio)
※PBRとは何を意味するかについては、上記ブログ記事をご参照ください。
現在も、東証のフォローアップ会議は継続的に開催されていて、議論が進んでいます。
PBR1倍割れなどへの取組みについては、今年2023年の春にも、東証から各上場企業へ通知が出る予定です。
通常、PBR1倍割れの企業がその改善に取り組み、PBRが1倍以上になれば、当該企業の株価は上昇します。
[想定される流れ]
2023年春に東証から通知 → 各企業にて改善策を実施 → 株価上昇
つまり、今のうちに、PBR1倍割れの優良な企業を買っておくと、今後の改善策の実施に伴い、株価上昇が見込め、大きな投資成果が得られる可能性があります。
そこで、今回は、高配当株かつPBR1倍割れの企業について、リストアップしてみました。
インカムゲイン(配当金)とキャピタルゲイン(PBR改善策による株価上昇)の両方を狙う作戦です。
なお、実際の投資にあたっては、自己責任で行ってください。
東証のフォローアップ会議の現状
フォローアップ会議の進捗状況については、東京証券取引所のホームページにて公開されています。
下記は、直近の第8回フォローアップ会議(2023年2月15日開催)の資料からの抜粋です。
※出所:東京証券取引所HP
このページのタイトルが素晴らしいです。
「資本コストや株価を意識した経営の促進に向けた要請」
東証が “株価を意識した経営の促進” とまで言ってるのは、投資家として、非常に頼もしいです。
そして、資料の上部には、
「2023年春に通知予定」
「特にPBRが1倍を割れている場合には、市況の悪化など一時的な影響によるものである場合を除き、十分な対応が求められる旨を通知に明記」
との記載があります。
なお、通知対象は、「プライム市場・スタンダード市場の全社に対して」とあります。グロース市場上場の企業は対象外です。
上記資料にて想定されている東証からの通知内容は、
①現状分析 → ②計画策定・開示 → ③取組みの実行 → ④①に戻る
各上場企業は、PBR等について自社の現状を分析し、それを改善する計画を作成・公表して、改善策を実施することを求められます。
この影響は非常に大きいと予測され、今春予定の東証からの正式通知が出る前にも、上場企業各社がPBR向上に向けて動き出す可能性が高いと考えられます。
PBR(倍)=株価÷1株当たり純資産
ですから、PBRをアップさせるためには、経営効率・事業投資の効率をアップし業績向上で株価を上げるほか、分母の1株当たり純資産を下げればよいことになります。
1株当たり純資産を下げるためには、自社株買いや配当金を増やす(増配)という方法が考えられます。
⇒つまり、PBRの向上は株価上昇につながり、その過程で、増配や自社株買いを積極的に実施する企業が増える可能性が高いです。
⇒実際に東証からの通知が実行されれば、国内・海外の機関投資家からも好評価を受け、日本の株式市場に資金が流入することも十分考えられます。
⇒このような各種の動きを見越して、今のうちに、PBR1倍割れの優良な高配当株を買っておくことは、有効な投資戦略になると考えています。
しかも、万が一、東証からの通知が出なかったとしても(ここまで議論が公表されているので出ない可能性は低いですが)、優良な高配当株がPBR1倍を割れていれば、お買い得な水準にあることは変わりません。
どっちに転んでも大丈夫な、非常に有利な状況です。
高配当かつPBR1倍割れ企業のリストアップ
そこで、今のうちに、PBR1倍割れの優良な高配当株を買っておくことが、有効な投資戦略になるとの考えに基づき、候補となる企業をリストアップします。
※なお、本件リストアップは投資銘柄を推奨するものでは一切ありません。実際の投資にあたっては、自己責任で行ってください。
※PBRの数字 “だけ” を見て投資をするのは危険です。投資をする際は、PBR以外の投資指標や業績などの数字も合わせて総合的に判断する必要があります。
今回のリストアップには、ヤフーファイナンスの配当利回りと低PBRのランキングを使用しました。※2023年3月3日現在のデータ
まずは、東証プライム上場で配当利回り3%以上の高配当株を選定し、その中から比較的有名な高配当株をピックアップしたところ、90社になりました。
「比較的有名」には私の主観が入っていますので、ご承知置きください。また、比較的有名=優良 とは限らない点にもご留意ください。
安全性と簡便性(対象社数が多いので)を重視して、今回はこのようにしました。
ちなみに、東証プライム上場かつ配当利回り3%以上という条件では708社が該当。
この90社の配当利回りとPBRを組み合わせたリストが下記になります。
PBR欄が黄色になっているのが、PBR1倍割れです。
⇒ピックアップした90社のうち、54社がPBR1倍割れで解散価値を割っている状態です。
非常に多いですね。東証がついに怒って、PBR改革に乗り出すのもよく分かります。
ちなみに、日本取引所グループ(東証の持株会社)のPBRは3.44倍ですので、面目を保っています。もし自社がPBR1倍を割れていたら、上場企業各社に注意しにくいですよね。
⇒海運、総合商社、資源、銀行、リースなどに、PBR1倍割れの企業が目立ちます。
⇒上記のリストをじっくり眺めて、高配当かつPBR1倍割れの企業を狙うとしたら、具体的にはどの銘柄がよいでしょうか。
私は、高配当かつ減配しない累進配当ブラザーズのうち、PBR1倍を割れている銘柄を選びます。
具体的には、上記リスト中の、三井住友FG・三菱HCキャピタル・稲畑産業・オリックスの4社です。
この4社は累進配当なのにPBR1倍を割れている、そして今後の東証PBR改革で改善策が実施される見込みという今の状況は、投資チャンスだと考えています。
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まとめ
高配当かつPBR1倍割れの企業リストは、なかなか興味深い内容でした。じっくり眺めていると、投資のヒントが見つかりそうな気がします。
皆さんも、まずは、ご自分の保有している株式銘柄について、現在のPBRを確認してみるとよいと思います。意外な銘柄が、PBR1倍を割れているかもしれません。
東証は、ホームページで、PBR改革を含む「資本コストや株価を意識した経営の促進に向けた要請」に関する資料を公表済みですから、上場企業各社は、その対策に向けて既に動き始めているはずです。
これらのPBR改革の動きは、個別企業の問題にとどまらず、日本の株式市場全体を押し上げる大きな流れにつながっていく可能性が十分にあります。
ゲームチェンジが起きるかもしれません。
今回の高配当かつPBR1倍割れの企業リストも活用しながら、今のうちに(東証の通知が出る前に)、積極的に投資していこうと考えています。
今日も配当生活への道を一歩ずつ進む、ショウでした!
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