2021年2月9日15時、株式市場に激震が走りました。
あのJTが減配を発表したのです。
高配当株の代表格のJTが、上場来初めての減配。その衝撃は計り知れません。
まさに、JTショックです!
今回は、JTの今後の経営計画と減配予想、それらを受けた今後の方針について、書いてみたいと思います。
JTの経営計画
※出所:JT決算説明資料
JTは、減収減益の傾向が続く業績の立て直しのため、タバコ事業の強化を行います。
具体的には、以下の施策を実施します。
1.高温加熱式タバコ・紙巻タバコに経営資源を集中投入
⇒特に、高温加熱式タバコへの資源配分を最優先します。
⇒高温加熱式タバコは、煙やニオイが比較的少なめなのに、吸いごたえがあるため、人気のカテゴリーです。
2.タバコ事業運営体制の一本化
⇒現状、日本国内のタバコ事業と海外のタバコ事業の2つに分かれている事業体制を一本化します。
⇒具体的には、海外タバコ事業を統括しているJTI(JT International 本社:スイス ジュネーブ)に、日本国内タバコ事業を組み入れます。
⇒日本のタバコ市場へのマーケティング等は、JTIが直轄し指揮命令を行うことになります。
本社部門などの間接部門は、ジュネーブ本社に集約しますから、日本国内の人員コスト・関節費用は削減することができます
⇒今後、アメリカ・ヨーロッパ・ロシア・南米・中東など、JTIが担当する世界の市場の中において、日本市場は、単なる一つの市場に過ぎない(縮小を続ける重要性が低い市場)という位置付けになるのかもしれません。
⇒なお、JTIがどれほどグローバルで優良な組織であるか、下記の本で紹介されています。
3.工場の閉鎖・人員削減
⇒九州の2つの工場を閉鎖します。
⇒工場閉鎖、及び上記2に伴い、人員の削減を行います。
削減規模は、正社員1,000人、パート1,600人、シニア社員150人程度など、合計約3,000人規模です。
ちなみに、現在のJT国内タバコ事業の正社員は約6,500人なので、うち1,000人の削減は約15%の人件費カットになります。
JTの新たな株主還元方針
※出所:JT決算説明資料
⇒稼いだ利益の配分は、事業投資を最優先(今なら高温加熱式タバコへの投資)
⇒株主への配当は、配当性向75%を目安とする。
⇒上記の方針に基づき、今期21年12月期の配当予想は、1株当り130円に減配となりました(20/12期配当金は154円)。24円の減配で、減配率は約15%です。
⇒減配発表翌日の株価はやはり下がったので、2020年2月10日現在の配当利回りは、6.5%(=配当130円/株価1,990円)となりました。
⇒なお、株主優待の廃止は発表されていませんが、減配している以上、株主優待についても、今後廃止される可能性があります。
今後のJTへの投資方針
JTが打ち出した、タバコ事業の構造改革・リストラ策は、より収益性の高い筋肉質の会社を目指す経営判断として、非常に真っ当なものです。個人的には、高く評価しています。
今期21/12期は、事業再構築に一時的な費用がかかりますが、来期22/12期以降、中長期的に利益は向上していくと見込まれます。
また、減配したとは言え、1株当り130円の配当です。配当利回り6%超の高配当株には違いありません。
しかし、減配の経営判断は残念です。この段階で減配に踏み切る必要が本当にあったのか、JTの海外タバコ事業は堅調であることや、キャッシュフローを見ても、疑問が残ります。
さらに、この減配は、あくまでも今期21/12期の配当予想での減配ですから、実際にはまだ1年という時間的余裕があるわけなので、今の時期に、減配予想を発表する必要性があったのかという点も疑問です。
ただ、もう決まったことなので、あまりごちゃごちゃ言っても仕方がありません。
私は、減配が発表されましたので、保有しているJT株式は、今後タイミングを見ながら、徐々に売却していきます。
将来、JTの事業立て直しが順調に進み、もう減配は当面ないだろうと判断したら、また買うかもしれませんが、それまではじっと見守ります。
私は、高配当株投資家として、JTのことが大好きでした。
いや、今でも好きだけど、嫌いになるわけじゃないけど、売りたくないけど、お別れです。
今なら、映画ローマの休日で、オードリー・ヘップバーンが演じる、アン王女の気持ちがよく分かります。好きなのに別れなければいけない。ツライ、本当にツライのです。
我ながら、何を書いているのか、よく分からなくなってきました。最後に一言。
さようなら、JT。また買える日まで。
まとめ
今回のJTの減配で、改めて学んだこと、再認識したことがありました。
それは、高配当株投資での分散投資の大切さです。
もし仮に、一つの銘柄しか保有していなかったら、減配されると、大きなダメージを受けます。
けれども、投資資金を複数の銘柄に投資していたら、たとえ減配されても、全体に対するダメージは小さくなります。
例えば、配当利回り4%の10社に対して、投資資金1,000万円を10%ずつ均等に投資していたとします。
すると、受取り配当金は10社合計で40万円(=1,000万円×4%)、1社当りの配当金は4万円(=100万円×4%)になります。
この時、10社のうちA社が20%減配して、A社の配当金が32,000円(=4万円×80%)になったとすると、全体の受取り配当金40万円に対するダメージは、8,000円です。
つまり、全体で考えるとダメージ率は、たった2%(=8,000円/40万円)に限定されます。※全体100%×A社割合10%×減配率20%=2%
今回のJTの減配は確かに残念で痛かったのですが、私の全体投資に対するJTへの投資比率は約10%だったので、比較的小さめのダメージで済みました。
今後も忘れずに、高配当株投資での分散投資を意識して行っていこうと思います。
今日も配当生活への道を一歩ずつ進む、ショウでした!
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