「JTのM&A」 著者:新貝康司
を読みました。この本は、ビジネス実務書の側面が強いですが、JTに投資している株主である私にとって、非常に参考になりました。
※本記事はPR広告を含みます。
著者の新貝氏は、JTの副社長やCFO(最高財務責任者)を務め、JTの大型M&Aを主導してきた人です。
●JTグループの歴史概略
1857年(江戸時代末期):ギャラハー社創業
1874年(明治7年):RJR社設立
1898年:日本専売局が国内葉タバコ独占販売のために設置
1913年:「キャメル」発売
1949年:日本専売公社設立
1954年:「ウィンストン」発売
1956年:「セーラム」発売
1977年:「マイルドセブン(現メビウス)」発売
1985年:民営化により、日本たばこ産業株式会社(JT)設立
1999年:RJRインターナショナル社を買収
2007年:ギャラハー社を買収
2008年:加ト吉を買収
JTは、今でこそM&A巧者としての評価を受けていますが、それは著者を含めJTが行ってきた過去のM&Aでの成功の上に成り立っています。
特に、RJRインターナショナル社とギャラハー社の大型買収成功が大きいです。
両社を買収することで、JTは世界第3位のたばこ会社となり、世界各地での海外たばこ事業に本格的に乗り出しました。
今やJTの海外たばこ事業は、JT全体利益の約3分の2を稼ぐ中核事業に成長しています。
海外たばこ事業は、スイスのジュネーブに本社を置くJTインターナショナル社(JTI)が、日本・中国を除く全世界の事業を統轄し、上記2社の大型買収も、JTIを中心に進められました。
JTIは、全世界で従業員4万人以上、多様な国籍の人材が集まるグローバル企業です。日本のJTからの日本人駐在員は圧倒的少数。
この本を読むことで、下記事項について、JTとJTIがどのように考えて、どう進めてきたかに関して、詳細に知ることができます。
・M&Aに関する考え方
・M&A後の統合戦略(買収後、どのように統合効果・シナジー効果を出していくかが最も重要)
・ブランド戦略の実際
・財務戦略・キャッシュフロー経営の実際
・成長のためのコスト構造改革
⇒大きな組織・人を動かすにはどうすればよいかが分かり、非常に面白く、興味深い内容です。引き込まれて、すぐに読んでしまいました。
⇒この本を読んで、正直、JTのことを見直しました。
私のJTのイメージと言えば、民営化されたと言っても、今も国が大株主で、たばこという独占的な事業を扱っている、親方日の丸で、まだまだヌルイ会社といったものでした。
ところが、この本で描かれているJTの実情は、そんなイメージとは全く違うものです。
こんなところまで考えている、ヌルイどころか、ブランドや品質・コスト等にこんなにも厳しい姿勢で、かつグローバルに事業を進めている、ということが分かります。
私は、JTに投資している株主として、この本を読んで、JTへの信頼度がアップし、同社株式の保有継続への安心感が高まりました。
JTの株主の方や、JTへの投資を検討されている方に、おススメの一冊です。
今日も配当生活への道を一歩ずつ進む、ショウでした!
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