※本記事は、2024年版に更新しました。下記【2024年版】をご参照ください。
三井住友フィナンシャルグループの2023年3月期本決算が発表されましたので、2023年版の内容に更新しました。
8316三井住友フィナンシャルグループは、三井住友銀行の持株会社で、高配当株の一つであり、私も現在保有しています。
本ブログで書きました、高配当株買いの4つの基準に照らして、三井住友フィナンシャルグループを検討します。
基準1.配当利回りが3%以上(税引前)
三井住友フィナンシャルグループの予想配当利回りは約4.3%の高さ。基準1はクリアです。
基準2.直近5年以上、増配傾向が続いていること(最低でも前年の配当金額を維持していること)
三井住友フィナンシャルグループの配当金の推移
2015年3月期:140円
2016年3月期:150円(前年比7%増)
2017年3月期:150円(前年と同額)
2018年3月期:170円(前年比13%増)
2019年3月期:180円(前年比6%増)
2020年3月期:190円(前年比5%増)
2021年3月期:190円(前年と同額)
2022年3月期:210円(前年比11%増)
2023年3月期:240円(前年比14%増)
2024年3月期予想:270円(前年比13%増)
※2021年11月に上限1,000億円の自社株買いを発表
※2022年11月に上限2,000億円の自社株買いを発表
※2023年11月に上限1,500億円の自社株買いを発表
三井住友フィナンシャルグループは、増配傾向が続いていることから、基準2もクリアです。
また、三井住友フィナンシャルグループは、2017年度より「累進配当政策」を採用することを対外的に発表し公約しています。
累進配当政策とは、減配をせず、少なくとも前年の配当を維持するか、または増配を実施するという素晴らしい配当方針のことです。
これは、株主にとって本当にありがたく、驚異的にメリットがあります。
累進配当政策は、たとえ業績が悪い年でも、最低でも前年の配当と同じ金額は維持される上に、業績好調な年は増配が実施されるという意味ですから、配当金は下がりません。
企業が累進配当政策を継続している限り、株主は安心して、株式を保有することができます。
他の高配当の優良企業でも、実質的に前年配当維持または増配という配当政策を実施している会社はありますが、三井住友フィナンシャルグループのように、対外的に累進配当政策を宣言までしている会社は、多くはありません。
対外的な累進配当政策の宣言は、機関投資家を含め、世界中の投資家への約束になりますから、非常に重みがあります。
三井住友フィナンシャルグループの現在の配当利回り約4.3%で買えば、累進配当政策が継続される限り、将来にわたって、取得価格ベースの配当利回りが4.3%「以上」になります。
なぜなら、累進配当政策では、配当金は最低でも前年配当を維持するので、取得価格(購入時の株価)ベースの配当利回りが下がることはないからです。
※配当利回り=1株当たり配当金/株価
この累進配当政策を、三井グループと住友グループの中核会社で、三大メガバンクの一角でもある、三井住友フィナンシャルグループが、国内と世界中の機関投資家・個人投資家に向けて宣言しています。
ですから、その高い自負とプライドにかけても、累進配当政策を簡単に変更することはない、と考えられます。
2023年度から開始する新中期経営計画でも、累進配当政策を継続・維持することが発表されています。
また、今期24/3期の自社株買いについては、金融機関を取り巻く不透明な環境を踏まえて、上期の決算時(2023年11月頃)まで判断を保留するとのことです。今後の自社株買いの決定にも期待しています。
経営陣の株主還元・配当への意識は非常に高く、三井住友フィナンシャルグループの累進配当・増配傾向は続くと考えられます。
基準3.倒産リスクがほぼ無いと考えられること
三井住友フィナンシャルグループは、売上高約6兆円、時価総額7兆8千億円、日経平均225銘柄の一つの超大企業であり、倒産リスクは限りなく低いと想定されます。
基準4.業績が好調または堅調であること
三井住友フィナンシャルグループは持株会社であり、傘下に三井住友銀行、SMBC日興証券、三井住友カード、プロミスなどを有しています。
三大金融グループの一つであり、その中でも効率性はトップと評されています。
海外進出にも積極的で、アメリカ・ヨーロッパ各国・ロシア・中国・マレーシア・インドネシア・ベトナム・インド・ブラジルなどに展開。
日本だけではなく、グローバルに稼ぐ体制を構築しています。
インドネシアやベトナムの大手銀行、インドのノンバンク、フィリピンの商業銀行などに出資するなど、成長が見込めるアジアでも攻勢をかけています。
三井住友フィナンシャルグループは、FinTech(フィンテック、金融とIT技術の融合)にも非常に積極的で、マイクロソフトや各種企業との提携も進め、事業を拡大中です。
2022年6月には、三井住友フィナンシャルグループは、SBIホールディングス(SBI証券)と資本業務提携しました。
三井住友フィナンシャルグループが、SBIホールディングスに出資し、保有割合9.9%の大株主になっています。
SBIの創業社長の北尾氏には、後継者をどうするかの問題があるため、もしかすると、将来的にSBIは三井住友の傘下に入るかもしれません。
2023年3月には、新金融サービス「Olive(オリーブ)」を開始。銀行や証券、クレジットカード、保険など、三井住友フィナンシャルグループや業務提携先の金融サービスを総合的・一体的に利用できるスーパーアプリを提供。積極的に事業展開を行っています。
現在は日本国内は超低金利・マイナス金利に加えて、新型コロナ禍の影響も残る状況ですが、このような厳しい状況でも増配することができるほどの余力・収益力を、三井住友フィナンシャルグループは持っています。
ですから、逆に、将来的に金利が上昇していった場合、銀行業をメインとする同社の業績には、大きなプラスの影響があると考えられます。
そして、2023年4月、日銀の植田新総裁が就任。日銀は、これまでの大規模金融緩和への出口戦略として、今後タイミングを見て、金利引き上げ方向に向かって、少しずつ金融政策を修正していくものと想定されます。
アメリカでは、2022年3月に金利引き上げが開始されましたので、三井住友フィナンシャルグループの業績への好影響も見込まれています。
三井住友フィナンシャルグループの事業基盤は盤石であり、業績の数字には、年により多少のアップダウンがありますが、おおむね業績は堅調で、配当を維持できなくなるほど大きく悪化することはないと考えています。
なお、三井住友フィナンシャルグループには、将来的・長期的な課題、大きなやり残しがあります。
それは、三井住友トラスト・ホールディングスとの経営統合です。
よく勘違いされますが、三井住友FG(三井住友銀行)と三井住友トラスト・ホールディングス(三井住友信託銀行)は、全く別の企業グループです。
支配的な資本関係や役員などの人的関係は、両グループにはありません。互いに独立した企業グループになります。
業界では有名な話ですが、昔から、住友グループの中でも、住友銀行と住友信託銀行は、互いに嫌い合う犬猿の仲です。
どちらかというと、住友銀行がイケイケの野武士タイプ、住友信託が温厚な紳士タイプという行風の違いも一因かもしれません。
その結果、過去の銀行大再編の際に、三菱銀行は、ちゃんと三菱信託銀行を取り込んで経営統合できたのに対し、当時の三井住友銀行と住友信託銀行(その後、三井住友信託銀行に)は、別々の金融グループとなりました。
しかし、当たり前ですが、本来は、銀行と信託銀行は同じグループで経営する方が効率的ですし、シナジー効果もあります。信託業務の顧客は富裕層が多いですし。
(三井住友FGは自前のSMBC信託銀行を持ってますが小規模)
この点、メガバンク首位の三菱UFJフィナンシャルグループ(傘下に三菱UFJ信託銀行を持つ)との差が出ていると考えられます。
23/3期の純利益
・三菱UFJFG :1兆1,164億円
・三井住友FG :8,058億円
・三井住友トラストHD:1,910億円
⇒三井住友2社を単純合計すると純利益1兆円、これに両社統合のシナジー効果を合わせれば、三菱UFJと並ぶ・追い抜く可能性があります
(三菱UFJは、出資している持分法適用会社の米国モルガンスタンレーの損益影響を大きく受けるという個別事情もありますが。)
逆に見れば、信託部門のハンデがある中で、三井住友FGはよく頑張っているとも言えますね。
三井住友FGと三井住友トラストHDの仲が悪いのは事実ですが、若手行員には昔ほどの対抗意識はないと思われます。
また、グローバルな金融競争の中で、三井住友トラスト単独の相対的に小さな規模でいつまで頑張れるのか、そろそろ限界が近づいているような気もします。
今すぐにではないものの、今後10年以内に、三井住友FGと三井住友トラストHDが経営統合する可能性は結構あるのではないでしょうか。
三井住友FGの株主として、減配しない累進配当の配当金を受け取りながら、その日を楽しみに、ゆっくりと待ちたいと思います。
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結 論
以上を総合的に考慮し、高配当株として、三井住友フィナンシャルグループは買いと判断しています。
特に、事業基盤の安定性と、将来の配当利回りがアップしていく減配しない累進配当政策を対外的に公約していることが、非常に魅力的です。
今日も配当生活への道を一歩ずつ進む、ショウでした!
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