高配当株投資の株価下落リスクは、配当金でカバーできるのか?~JTをモデルに考えてみる~

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リスクの象徴

高配当株への投資は、高い配当利回りと配当金が得られるという特長を持っています。

 

一方、リスク面では、配当については減配リスク、株価については、事業環境や株式市場全体の動向に影響される側面もあり、株価下落リスクがあります。

 

今回は、この高配当株のリスクを、高い配当金でカバーできるのか、高配当株の代表格であるJTを題材にして考えてみたいと思います。

 

会社の事業計画策定などで、よく使われる3つのシナリオ想定(最善ケース・平均ケース・最悪ケース)を用いて検討します。

 

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現在のJT株価・配当金・配当利回り

・現在の株価:約2,400円

・2019年12月期予想配当金:154円

・現在の配当利回り:約6.4%

 

この条件で、JT株を購入して、その後、株価が下落したケースを考えます。

なお、以下では、便宜的に税金や手数料は考慮しないなど、一部簡易的に計算をしています。

 

最善ケース(配当金額を維持)

株価が下落する中での最善ケースですので、配当金額が維持された場合を想定します。

 

●配当金での回収額

この場合、配当利回りが6.4%ですので、株式購入に使った投資元本の6.4%分を1年で、配当金として回収できることになります。

 

1年で6.4%、2年で12.8%、・・・・・8年で51.2%(=6.4%×8年)となり、8年で投資元本の半分以上を回収できます。

 

●株価の下落の目処

さらに、ここでは配当金が維持される前提ですから、株価が半値になった場合を考えると、配当利回りは現在の2倍の12.8%(154円÷1,200円)という高さになってしまいます。

 

通常は、ここまで配当利回りが上がる前に、株価は下げ止まります。仮に、配当利回り8%で株価が下げ止まると考えると、株価の下値目処は1,925円(1,925円×8%=154円)です。

 

この1,925円の株価は、買い値の株価2,400円の約マイナス20%です。

 

マイナス20%分の株価下落分を配当金で回収するまでの期間は、約3年(=下落分20%÷配当利回り6.4%)になります

 

⇒以上を総合すると、配当金の額が維持される場合は、

①株価が購入時の半値に下がったとしても、配当金受領で8年で損益トントンになる。

 

配当維持の前提では配当利回りが異常にアップするので、そもそも株価が半値になることが考えにくい。配当利回り8%の時点で株価が下げ止まると仮定すると、約3年で損益トントンになる。

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平均ケース(配当金が半分になる厳しめの前提)

次に、配当金が減配されて半分になってしまった場合を想定します。平均ケースで配当金が半分というのは厳しいかもしれませんが、保守的に考えました。なお簡易的に、半分になった後は、その半分の配当金額が続くと想定します。

 

●株価はどこまで下落するか

配当金が半分の77円(=154円×50%)になるため、現在の株価2,400円で計算すると、配当利回りも半分の3.2%(=77円÷2,400円)となります。

 

この配当利回り3.2%が現在の6.4%になるまで、株価が下落すると想定した場合、株価は現在の半値の1,200円になります(配当77円÷株価1,200円=配当利回り6.4%)

 

保守的に見て、減配したのだから、現在の配当利回り6.4%ではなく8%になるまで下落した後、株価が下げ止まると想定した場合、株価は963円(963円×8%=77円)まで下がります。

 

⇒この場合、下落後株価963円-購入した時の株価2,400円=1,437円の損失です。

これを配当金77円で回収するには、約18年(=1,437円÷77円)かかります。

 

⇒なお、配当金が半値(50%減少)ではなく、25%の減少にとどまった場合は、株価下落分を配当金で回収するには、約8年かかる計算となります。

 

最悪ケース(無配転落)

やはり最悪ケースと言えば、無配になってしまうことですね。

 

タバコという嗜好品かつ独占的な商品を販売し、世界中でキャッシュを稼ぐJTが無配に転落することは想像しにくいのですが、無配になった場合を考えてみます。

 

●無配の場合、株価の下値目処は予測困難

無配ということは、配当利回り0%で、配当金での損失回収も不可能になります。

 

よって、下値の目処も予測困難で、どこまで下がるのか先が読めません。また、JTのような高配当株が無配になると、ネガティブサプライズの衝撃も大きいです。株価が10分の1になっても、不思議ではありません。

 

万が一、無配を発表した場合、どこまで株価が下がるか分からないため、できるだけ早めに売却することが重要です。

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まとめ

●上記の最善ケースのように、配当金が維持される限り、株価が下落しても、保有を継続して配当金を受領し続けることで、3年程度で取り戻せます。

 

●配当金が減配されて半分になった場合でも、約18年という長期的には回収することが可能です。

これは、配当金がいきなり半分になる前提ですが、実際は急に半分になることは少ないと思います。少しずつ減配されるのであれば、もっと早い期間で回収が可能になります。

 

なお私は、減配が発表された時点で売却する方針ですが、各個人の状況によっては、減配後も当該株式を持ち続けることで、損失を回収するという手段も有り得ると思います。

 

●そして、無配転落の最悪ケースは、リスクが極大ですので、速やかに売却すべきと考えます。

 

⇒こうやって見てみると、高配当株の場合、なんと言っても重要なのは、やはり「配当金額を維持する=減配しない」ことですね。減配さえ無ければ、株価下落リスクも比較的短期間でカバーできます。

 

⇒その意味では、減配しない“累進配当ブラザーズ”の存在は、非常にありがたいですし、重要性が増していると考えています。今後も、累進配当ブラザーズを中心として、買い増しを継続していきます。

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今日も配当生活への道を一歩ずつ進む、ショウでした!

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