映画「マネー・ショート 華麗なる大逆転」(2015年制作)を最近見ました。
非常に面白かったです!
時間を置いて、株式市場が過熱してるなと感じた時に、投資家として、繰り返し何度も見たいと思いました。
マネー・ショートは、実話を元にした映画で、リーマンショックや当時の米国住宅バブル、サブプライムローンなど、投資をするなら知っておきたい知識・史実について、映画を楽しみながら、お手軽に学べます。
また、人間性や社会ドラマも描かれていて、コミカルな部分と重みがある部分がマッチしているところも、ジーンと心に響きます。
アカデミー賞の脚色賞も受賞している作品です。
※なお、以下では、映画の内容に一部触れている箇所がありますので、まだ映画を見ていない方はご留意ください。
映画マネー・ショートの概要
●あらすじ
2000年代半ば、好景気に沸くアメリカ。
みんなが浮かれる中で、サブプライムローンによる住宅価格バブルの実態を見抜き、世界経済が破たんする方に賭けて空売りを仕掛けた、4人の投資家・トレーダーがいました。
彼らは、その後の住宅バブル崩壊・リーマンショックでの株価大暴落によって、4,000億円もの利益を叩き出しました。これらは、実話に基づくストーリーです。
●原作
この映画の原作は、マイケル・ルイスの著書「世紀の空売り-世界経済の破綻に賭けた男たち」
マイケル・ルイスは、金融・経済小説ジャンルで、世界的なベストセラー作家です。
代表的な著作には、「世紀の空売り」以外にも、下記があります。
どの著作も興味深く、投資にも役立つ内容なので、良かったら読んでみてください。
●映画のキャスト
主な出演者:
クリスチャン・ベール、ライアン・ゴズリング、スティーブ・カレル、ブラッド・ピット
⇒豪華なキャスト陣が、個性豊かな登場人物を魅力的に演じています。
マネー・ショートから、投資家目線で学べる点
1.金融商品の仕組み
サブプライムローン、MBS(モーゲージ債)、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)、CDO(債務担保証券)、投資適格の格付など、複雑な金融商品の仕組みを、分かりやすく視覚的に理解することができます。
2.バブル
映画では、人々が住宅バブルに踊る姿が描かれています。
バブルの中にいると、人間はどのような感覚になっていくのか、どのような行動を取るのか。
後から見れば、集団の狂気のような面もありますが、バブル当時には、これはバブルだと大多数の人は気づけない。バブルがはじけて、莫大な損失が出てから、あれはバブルだったんだと初めて気づくことができる。
ある意味では滑稽で、ある意味では背筋が寒くなるくらい恐ろしい、そんなバブルの様相を映像で疑似体験できます。
これは、日本のバブル時代を実体験できていない私にとって、かなり興味深く貴重な映像経験でした。バブル絶頂期って、こんな感じなんだなと何となく分かりました。
3.特に印象に残ったシーン
●アパートの一室を借りている家族
サブプライムローンを使って家主が建てたアパートを、主人公たちが調査したとき、そのアパートに住む、低所得者と思われる家族の父親が言います。
「俺たちは、ちゃんと家賃を払っているから大丈夫だよな。追い出されたりしないよな。子どもが学校に行き始めたとこなんだ」
⇒近い将来、住宅バブル崩壊で家主がローンを返済できなくなり、アパートが差し押さえられ、この家族が追い出されるのを想像して、悲しく胸が詰まります。
●投資の判断は孤独なもの
クリスチャン・ベール演じる投資ファンドマネジャーのマイケル・バーリは、住宅バブルが崩壊するであろうことを見抜き、多額の空売りを仕掛けます。
我々は既に知っているように、マイケルの投資判断は結果的に正しかったわけですが、空売りをしてからも、市場価格はどんどん上がり続け、マイケル率いる投資ファンドの含み損もどんどん拡大していく。
大多数の投資家は住宅価格が暴落するとは全く考えていない状況で、マイケルは正反対の行動(空売り)をしているわけですから、マイケルはファンドの投資家たちから罵倒され、バカ扱いされ、資金を引き上げると脅されます。
そして、ファンドの従業員からも、マイケルの空売りの判断に疑問を持たれ、マイケルは孤立して、苦悩します。しかし、空売りの判断は変えません。
⇒その後、住宅バブルは崩壊し、マイケルの判断の正しさは証明されることになりますが、自分以外の全員が反対して孤立する中で、悩みながらでも、自分の投資判断を変えないという心の強さが必要なんだなあと思いました。
そして、ただ頑固に自分の意見にこだわるだけではなく、それを裏付けるデータの分析力も必要になります。マイケルも、膨大な住宅市場データの分析を行ったからこそ、最後まで空売りの姿勢を貫けたのだと思います。
⇒まさに、“人の行く裏に道あり花の山”という投資格言を、この映画で実感するとともに、その格言を実行することの難しさも改めて感じました。
●数字の裏にある現実の生活
二人の若手トレーダーが、空売りがうまく行きそうな情勢を知って、ウキウキで踊り始めます。それを見た、ブラッド・ピット演じるベン・リカートが言います。
「賭けの相手はアメリカ経済だ。つまり、空売りの読みが正しければ、人々が家を失うんだ。仕事も失う。老後の蓄えを失い、年金も失う。金融業界は人を数字としか見てない。だが、失業率が1%上がれば、4万人が死ぬんだ。知ってたか!知ってたか! 二度と踊るな」
⇒この映画で、一番心に残ったシーンです。録画を巻き戻して、何度もこのシーンを見てしまいました。
私も今まで、毎月一回発表される、アメリカの雇用統計と失業率の数字について、市場予想と比べて良かったか悪かったか、株式市場に与える影響はどうなるか、といったことばかり考えていました。
けれども、当たり前と言えば当たり前ですが、この数字の裏には、現実の人間・家族・子どもたちの生活が存在しているわけです。
このことを決して忘れずに、心に留めて、投資をしていきたいと思います。
まとめ
映画マネー・ショートには、投資家として参考になる場面がたくさんあります。
また、米国映画らしく、コミカルで笑える部分も多い一方、考えさせられる重い部分もあり、バランスが取れています。
歴史的な大暴落であるリーマンショックや、住宅バブルについて、映画を見るという比較的お手軽な方法で学ぶことができるので、投資をされる方におすすめです。
なお、この映画は、全体として、投資に対しては肯定的な扱いをしていると思います。
投資にはネガティブな面もポジティブな面もありますが、投資は、総合的に社会の発展に貢献する活動だと考えていますので、今後も投資を積極的に行っていきます。
今日も配当生活への道を一歩ずつ進む、ショウでした!
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