高配当株には、とても便利でお役立ちの指標があります。
それは、皆様ご存知の「配当利回り」です。
配当利回りは、投資をする際のリターンを示すだけではなく、高配当株の買いのサインや、売られ過ぎの目安として、使うことができます。
配当利回り=1株当たり配当金÷株価 で明確に算出されますから、リトマス試験紙が青色から赤色に変わるように、配当利回りは、はっきりと簡単に見分けられます。
今回は、配当利回りが示すシグナルについて、書いてみました。
配当利回りと株価との関係
配当利回りは、以下の式で計算します。
※配当利回り=1株当たり配当金÷株価
⇒配当金を株価で割れば、配当利回りが算出されるということは、分母である株価が下落すれば配当利回りはアップします。逆に、株価が上昇すれば配当利回りはダウンします。
株価下落↓なら、配当利回りアップ↑
株価上昇↑なら、配当利回りダウン↓
配当利回りと株価の関係は、このような反対の関係になっています。
なんだか、シーソーみたいですね。
⇒よって、配当利回りの水準を見ることで、株価の売られ過ぎ・買われ過ぎの一つの目安として活用できます。
配当利回りが示すライン
配当利回りが教えてくれる目安として、下記のような区分ラインがあります。
※下記は、累進配当ブラザーズのような、通常時の配当利回りが4%の優良な高配当株を想定したものです。
例えば、三菱商事、三井住友FG、NTTといった会社になります。
※下記は、絶対的な基準となるラインではなく、あくまでも「一つの目安」として活用するものになります。投資判断にあたっては、配当利回りだけではなく、業績・市況などを含め総合的な判断が必要です。
※下記は、ピンチアウトで拡大できます。
1.株価が上昇していく局面
●様子見ライン
通常時の配当利回りが4%の優良な高配当株を想定した場合、「様子見ライン」は配当利回り3%です。
つまり、株価が上昇して、通常時よりも配当利回りがダウンしたとしても、配当利回りが3%~4%のゾーン(=まだ買えるゾーン)であれば、その高配当株にまだまだ投資できる水準の株価であるという考え方になります。
これは、将来の増配を考慮すれば(将来の増配で取得配当利回りは徐々にアップするので)、配当利回り3%台はまだ許容できる水準であるからです。
この様子見ラインを超えて株価が上昇し、配当利回りが2%台にまで下がった場合は、株価は割高水準にあると判断されるので、追加の買い増しは行わず、株価の推移をウォッチするゾーンになります。
2.株価が下落していく局面
●お買い得ライン
通常時の配当利回りが4%の優良な高配当株を想定した場合、「お買い得ライン」は配当利回り4.5%です。
株価が下落して、配当利回りがアップして4.5%を超えるような水準は、お買い得で投資のチャンスになります。
さらに株価が下落し、配当利回りが5%を超えた場合は、超お買い得です。
ですが、このゾーンは、超お買い得であると同時に、株価が底抜けして暴落する恐れがある警戒すべき段階でもあります。いつも以上に、株式市場のニュースや経済指標の情報に注意が必要です。
なお、上記については、その高配当株企業自体には大きな問題がなく、株式市場全体の下げや世界経済の影響などで、株価が大きく下落した場合のことですので、ご留意ください。
もし高配当株企業自体が、業績の下方修正や減配などの発表を行い、それが原因で株価が下落しているのであれば、当然お買い得にはなりません。買いの投資は控えるべきです。
●暴落防衛ライン
配当利回り6%を、暴落防衛ラインとして考えています。
配当利回り=1株当たり配当金÷株価 ですので、分子の配当金の方に変化がないのに、分母である株価が大幅下落して、配当利回り6%を超える状況は、異常事態のシグナルです。株価が暴落している状況になります。
ここでは、慎重に状況を注視して動かない、追加投資はしないというのが、最も無難な策ですね。
しかし、株式市場や世界経済などの “外部環境” に引っ張られて、企業の中身自体には問題がない優良な高配当株の株価が暴落しているのであれば、「暴落こそ、投資・買い増しの大チャンス」です。ぜひ、勇気をもって買い向かいましょう!
配当利回りラインの実際の使い方
上記の配当利回りラインについて、三菱商事の配当利回り・株価を実例として、見てみます。
三菱商事について、過去のある時点の株価・配当利回りの時に、配当利回りラインを使ってどのように考えるのか、シミュレーションしました。
期間は、2020年1月から現在(2023年7月)まで。
※下記での配当利回りは、その時点での予想配当利回りであり、その時点から見た次回の配当実績の額を予想配当金の近似値として使用しています。
【再掲】
●三菱商事
・2020年1月31日:株価2,823円、配当利回り4.7%(20/3期配当132円)
⇒お買い得ラインの配当利回り4.5%を上回っているので、積極的に買っておきたいところ。
・2020年3月31日:株価2,291円、配当利回り5.8%(20/3期配当132円)
⇒2020年3月は、いわゆるコロナショックで株式市場は大荒れ。
配当利回りは超お買い得ラインの5%台です。大幅下落が継続していて怖いけど、冷静に長期的観点で考えて、減配しない累進配当政策を対外的に公約している王者三菱商事なのだから、勇気をもって買い向かいたい。
・2021年3月31日:株価3,130円、配当利回り4.3%(21/3期配当134円)
⇒コロナショックから1年後。2020年8月にバフェット氏が投資したこともあり、三菱商事の株価は大きく回復し、3,000円の大台超え。
株価は上昇するも、増配もあったので、配当利回りは4.3%と通常ゾーンに位置する。コツコツと買い増したい。
・2022年3月31日:株価4,601円、配当利回り3.3%(22/3期配当150円)
⇒資源高騰などの追い風もあり、三菱商事の株価もかなり上昇。そのため、配当利回りは3.3%まで下がってきたが、まだ買えるゾーンの配当利回り3%台をキープ。まだ買っておきたいところ。
・2023年7月14日:株価6,845円、配当利回り2.9%(24/3期配当200円)
⇒株価はさらに上昇。上場来高値を何度も更新。配当利回りは2.9%と、様子見ラインの3%を割りました。
株価上昇は嬉しいのですが、追加の買い増しはせず、状況をウォッチします。
株価の下落 or さらなる増配によって、再び配当利回りが3%台に戻せば、買い増しを再検討します。
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まとめ
高配当株には欠かせない「配当利回り」は、投資をする際に、本当に便利な指標です。
配当利回りは、投資したお金に対するリターンを示すだけではなく、上記のように、株価の売られ過ぎ・買われ過ぎの水準の目安も教えてくれます。
例えば、優良な高配当株について、お買い得ラインの配当利回り4.5%になる株価を逆算しておいて、その株価まで落ちてきたら買うといった待ち伏せ買いや、株価が上昇して買いにくいけど配当利回り3%台ならまだ買えるな、というようにも使えます。
配当利回りは、明解で分かりやすい、非常にありがたい投資指標です。
ぜひ、この使える「配当利回り」をドンドン活用してみて下さい!
今日も配当生活への道を一歩ずつ進む、ショウでした!
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