高配当株の「増配率」が持っている意味と重要性

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高配当株の増配率

 

増配率とは、企業の配当金が1年前の配当金からどれくらい増減しているかを率(%)で示したもので、以下の式で計算します。

 

増配率=配当金÷前年の配当金

 

高配当株投資と増配率との関係は重要ですし、いろいろな意味があります。

今回は、増配率が持っている意味とその重要性について、書いてみました。

 

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増配率とは?

増配率=配当金÷前年の配当金

 

例えば、ある企業の今期配当金が1株当たり110円、前年の配当金が100円だとすると、増配率は10%(=110円÷100円)になります。

 

今期の配当金が90円、前年の配当金が100円なら、増配率はマイナス10%です。

 

増配率は、配当金が1年前と比べてどれくらい増えたか、または減ったかをパーセントで表示するものです。

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増配率と増配額の違い

増配率は配当が増減した変化率のことで、増配額は配当が増減した金額のことです。

 

例えば、配当が100円から110円になった場合、

・増配率は10%

・増配額は10円

 

増配について考える際には、この増配額に目が行きやすいです。

しかし、増配の影響・インパクトをはかるには、増配率で考えるのが基本になります。

 

●事例1:

次の2つのケースは、どちらの方が株主にとって良いでしょうか。

①配当1,000円を配当1,100円に増配

②配当20円を配当23円に増配

 

⇒増配額で考えると、①は100円の増配、②は3円の増配なので、①の方が良いような気がします。

 

①は100円も配当を増やしてくれるのか、ヒャッホー嬉しい!、それに比べて②はたった3円ぽっちの増配かよ、みたいに感じてしまいがちです。

 

⇒しかし、増配率では、①は10%、②は15%の増配率ですので、株主にとっては、実は②の方が良いです。

 

例えば、もともと増配前の受取り配当金が1万円だったとすると、増配後の①は1万1,000円の配当金、②は増配後1万1,500円の配当金になります。

 

⇒増配額は分かりやすいという利点がありますが、増配の影響・インパクトを考える際は、見かけの絶対額の大きさに惑わされず、増配額ではなく、増配率で見るのがポイントです。

 

●事例2:

配当金について、毎年同じ金額を増配しているケースです。

 

例えば、配当金100円から毎年10円ずつ増配したとします。

配当金100円→110円→120円→130円→140円→150円

 

これは、10円ずつ毎年連続増配している(=増配額が毎年10円)ので、素晴らしいように見えます。

 

しかし、これを増配率で見ると、以下の通り、増配率が毎年下がっているため、本来は望ましくないです。

 

1年目増配率10%(=110円÷100円)

2年目増配率9.1%(=120円÷110円)

3年目増配率8.3%(=130円÷120円)

4年目増配率7.7%(=140円÷130円)

5年目増配率7.1%(=150円÷140円)

 

増配率=配当金÷前年の配当金 という計算式なので、当然の結果ではありますが、毎年同じ金額での増配だと、増配率は年々下がっていきます。

 

よって、増配の数字だけを見る場合は、前年と同じ増配額の10円だ、やったねと単純に喜べることではありません(増配率は下がってしまうから)。

10円超えの増配をしてもらって、前年時を上回る増配率となった場合に、心の底から喜べるのだ、とも言えます。

 

ただし、実際は、同じ増配額であっても、毎年のように連続増配をしてくれるだけでも素晴らしい、ありがたいことだというケースも多いです。

 

増配に対する評価は、増配率が基本ですが、配当を行う企業の業績・事業環境・株式市場の動向などを総合的に考慮して判断する必要があります。

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増配率の目安

増配率の数字の水準については、いろいろな考え方がありますが、大体の目安として、以下のように私は考えています。

 

・増配率1% ⇒増配はありがたいが、正直もう少し頑張ってね。

 

・増配率3%最低限のレベルはクリア。惜しいところ。

 

・増配率5%合格点。結構頑張ってくれたんじゃないかな。

 

・増配率10%以上素晴らしい!ありがとう!愛してる!

 

増配率の数字だけをもって、増配を評価するわけではないので、例えば増配率3%未満は一律にけしからんということではありませんが、

増配率10%以上の増配が発表された時は、素直にとても嬉しいです

なんだか、イヤなことも全部吹っ飛びます(笑)

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増配率と72の法則

「72の法則」という非常に役に立つ公式があります。

72を複利の利率で割れば、元本が2倍になるまでの年数が分かるというものです。

 

例えば、毎年5%複利の場合、72÷5=14.4ですから、毎年5%で増える金融商品が2倍になるのは約15年後であることが分かります。

 

そして、配当は、毎年前年の配当に積み重なって増えていきますから、増配率5%というのは、5%複利で増えるのと同じ意味です。

 

つまり、72の法則を使って、増配率●%が今後続いた場合、何年で配当が2倍になるかを試算できます。

 

増配率1%の場合:配当が2倍になるまで72年(=72÷1)

増配率3%の場合:配当が2倍になるまで24年(=72÷3)

増配率5%の場合:配当が2倍になるまで14.4年(=72÷5)

増配率10%の場合:配当が2倍になるまで7.2年(=72÷10)

 

⇒高配当株A社への投資を検討する際、今後A社が平均して年何パーセントの増配率を続けられそうかの数字を想定すれば、72の法則で、配当が2倍になるまでの年数が簡単に試算できます。

配当が2倍になれば、取得配当利回りも2倍になります。

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増配率と株価の上昇

通常の場合、増配を発表すると、その企業の株価は上昇します。

株価上昇は、ある意味、当然の現象とも言えますね。だって、増配するんですから。

 

例えば、高配当株B社の株価が1,000円、配当40円、配当利回り4%(=配当40円÷株価1,000円)だったとします。

 

ここで、配当40円を42円に増配するとの発表です。

増配率は5%(=42円÷40円)になります。

 

株価1,000円ですから、株式市場での配当利回りは、増配発表前の4%から4.2%(=42円÷1,000円)にアップします。

 

すると、お得感・割安感がありますから、投資家からの買いが入り、株価は上昇します。

 

この株価上昇分がどれくらいあるかですが、通常は、増配発表前の配当利回りの水準に戻るまで株価が上昇することが想定できます。

 

なお、株価が上昇すると、配当利回りは下がります。

配当利回り=1株当たり配当金÷株価 で計算するためです。

 

よって、今回のB社の場合、増配後の配当42円で、配当利回りが4%(増配発表前の水準)に戻る株価は1,050円です。

※配当利回り4%=配当42円÷株価1,050円

 

B社は、もともとの株価は1,000円で、配当40円から42円への増配(増配率5%)によって、株価1,050円に上昇したことになります。

この場合、株価上昇率は5%(=1,050円÷1,000円)です。

 

つまり、増配発表前の配当利回りの水準に戻るまで、増配後の株価は上昇すると想定した場合、増配率5%だと、株価上昇率5%になります。

 

したがって、「増配率=株価上昇率」です。

これは比率なので、増配率が3%でも10%でも、結果は同じです。

 

もちろん、例外はあり得ますが、通常の場合、増配率=株価上昇率 が大体は成り立つことを覚えておくと便利です。

(逆に、増配を繰り返しても株価が上昇しないなら、配当利回りが5%、7%、9%・・・とアップしていくことになるので、増配しても株価が上昇しないことは考えにくいです)

 

増配率=株価上昇率ですから、増配率5%が毎年続けば、株価も5%ずつ毎年上昇していくことになります。

 

高い増配率の会社は、株価の上昇率も高くなるわけです。

 

配当金(インカムゲイン)も、株価上昇(キャピタルゲイン)も、両方の恩恵が得られる素晴らしい結果になります。そんな高配当株を見つけたいですね。

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累進配当ブラザーズの増配率

イメージしやすいように、増配率の実例として、減配しない「累進配当ブラザーズ」について、直近3年間の増配率を見てみたいと思います。

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※ピンチアウトで、表を拡大できます。

累進配当ブラザーズの増配率の表①

累進配当ブラザーズの増配率の表②

 

⇒ここで、上記の章で記載した、増配率の目安を再掲します。

・増配率1% ⇒増配はありがたいが、正直もう少し頑張ってね。

・増配率3% ⇒最低限のレベルはクリア。惜しいところ。

・増配率5% ⇒合格点。結構頑張ってくれたんじゃないかな。

・増配率10%以上 ⇒素晴らしい!ありがとう!愛してる!

 

⇒上表の累進配当ブラザーズ各社の増配率を見ると、低めの年もありますが、増配率10%超えや10%に迫る年もたくさん見受けられます

かなり頑張ってくれているのではないでしょうか。

 

⇒中でも、東京海上HDの増配率は、26.9%・17.6%・21.0%とほれぼれするような素晴らしい数字です。さすが、キャッシュリッチの東京マリーンです!

【2023年版】8766東京海上ホールディングス(高配当株)~20年以上減配なし・キャッシュリッチなメガ損保首位~
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⇒上表の24/3期の数字については、あくまで現時点の会社予想ですから、保守的に低めの配当予想を出している会社もあると考えられます。

今後の業績進捗によって、さらなる増配の上乗せ、増配率のアップも期待しています。

 

⇒なお、稲畑産業は、22/3期において、配当の目安を総還元性向30~35%から総還元性向50%に引き上げたので、22/3期の増配率が高い数字になっています。

 

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まとめ

増配というものは、本当にありがたく、1円でも増配してくれるなら、本来は、黙って感謝してしかるべきなのかもしれません。

 

いやいや、そんな弱腰でどうする、配当は株主として当然の権利なのだから、配当・増配が少なかったら文句を言うべきとの考え方もあります。

 

まあ、私の配当・増配についての考え方は、上記2つの中間くらいの感じです。どちらの気持ちにもなります。

 

そんな配当・増配を考える上で、増配率は重要なポイントになりますし、評価指標の一つになってくれます。

 

理想的なのは、減配しない、かつ高い増配率を継続している、将来も継続すると考えられる高配当株です。

 

その一つの答えが、減配しない累進配当ブラザーズですが、今後も上記のような理想的な高配当株を探しながら、長期的観点で投資をしていきたいと思います。

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今日も配当生活への道を一歩ずつ進む、ショウでした!

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