稲畑産業の2024年3月期本決算が発表されましたので、2024年版の内容に更新しました。
8098稲畑産業(いなばたさんぎょう)は、高配当株の一つで、私も現在保有しています。
本ブログで書きました、高配当株買いの4つの基準に照らして、稲畑産業を検討します。
基準1.配当利回りが3%以上(税引前)
稲畑産業の予想配当利回りは、約3.8%の高さ。基準1はクリアです。
基準2.直近5年以上、増配傾向が続いていること(最低でも前年の配当金額を維持していること)
稲畑産業の配当金の推移
2019年3月期:48円
2020年3月期:53円(前年比10%増)
2021年3月期:63円(前年比18%増)
2022年3月期:110円(前年比75%増)
2023年3月期:115円(前年比4%増)
2024年3月期:120円(前年比4%増)
2025年3月期予想:125円(前年比4%増)
※2022年2月に上限75億円の自社株買いを発表
※2023年2月に上限40億円の自社株買いを発表
※2024年5月に上限50億円の自社株買いを発表
稲畑産業は、毎年増配していることから、基準2もクリアです。
稲畑産業は、2021年度より「累進配当政策」を採用することを対外的に発表し、宣言しています。
累進配当政策とは、減配せず、少なくとも前年の配当金額を維持するか、または増配を実施するという、素晴らしい配当方針です。
これは、株主にとっては、非常にありがたく、驚異的にメリットがあることです。
たとえ、業績が悪い年でも、最低でも前年の配当と同じ金額は維持される上に、業績好調な年は増配が実施されるのですから。
累進配当政策が継続される限り、株式を買った時以降、配当金が上がることはあっても、下がることはありません。
他の高配当の優良企業でも、実質的に前年配当維持または増配という配当政策を実施している会社はありますが、稲畑産業のように、対外的に累進配当政策を公約までしている会社は、多くはありません。
累進配当政策の対外的な宣言は、日本のみならず、世界中の機関投資家・個人投資家への約束になりますから、非常に重みがあります。
累進配当政策では、配当金は、最低でも前年配当を維持するので、取得価格ベースでの配当利回りが下がることもありません。
稲畑産業の現在の配当利回り約3.8%で買えば、累進配当政策が継続される限り、将来にわたって、取得価格ベースでの配当利回りが3.8%以上になります。
また、稲畑産業は、QUOカードの株主優待も実施しています。
経営陣の株主還元・配当への意識は非常に高く、稲畑産業の減配しない累進配当は続くと考えられます。
基準3.倒産リスクがほぼ無いと考えられること
稲畑産業は、売上高約7千億円、時価総額18百億円以上の大企業であり、倒産リスクは低いと想定されます。
※住友化学との関係
従前、稲畑産業は、住友化学の持分法適用関連会社(住友化学は稲畑産業株式の25%を有する大株主)でした。
稲畑産業の業績は持分法会社の損益として、住友化学の連結決算に取り込まれていました。
しかし、2024年1月、住友化学は数千億円の赤字を計上する業績悪化への対応策の一つとして、その保有する稲畑産業株式約15%分を売却することを決定し実行しました。
本件売却後、住友化学の持株比率は10%程度になり、稲畑産業は住友化学の持分法適用関連会社には該当しないこととなりました。
よって、現時点では、稲畑産業と住友化学の関係は、10%程度の大株主及び製品売買取引上の関係ということになります。
ただし、今後の住友化学の業績次第では、稲畑産業株式をさらに売却する懸念があります。
基準4.業績が好調または堅調であること
稲畑産業は、1890年(明治23年)に稲畑家が創業した、100年以上の歴史を有する化学専門商社です。
ケミカル関連の商品を扱う専門商社として、情報電子事業(液晶パネル・有機EL・LED製品・太陽電池・半導体等)と合成樹脂事業(自動車向け・建築資材関連等)をメインの柱に、生活産業事業(食品加工品・農産品関連)なども行っています。
欧州・北米・南米・アジアなど、世界18か国に約60拠点を有し、グローバルなネットワーク体制を構築。
情報電子事業の減少を、合成樹脂事業や化学品事業の好調でカバーするなど、業績は総じて堅調さを維持しています。
稲畑産業は、2022年2月7日に、業績好調に伴い、発表済みの中期計画NC2023(21/3期~24/3期)を見直し、株主還元方針について以下のように修正発表しました。
●株主還元方針
1.一株あたりの配当額については前年度実績を下限とし、減配は行わず、継続的に増加させていくことを基本とします。(累進配当の継続)
2.総還元性向の目安としては概ね50%程度とします。
ただし、政策保有株式を売却し、相当程度のキャッシュインが発生した事業年度においては、今後の資金需要や会社の財務状況、株価、マーケットの状況などを総合的に勘案し、上記の総還元性向の目安には必ずしも囚われずに、株主還元を実施いたします。
※総還元性向=(配当金額+自己株式取得額)÷連結純利益×100
⇒累進配当政策を明記するとともに、総還元性向の目安を50%程度とするなど、株主還元への積極姿勢が素晴らしいです。
⇒総還元性向50%とは、稼いだ利益のうち50%を、株主還元(配当や自社株買い)として使うという意味です。
2024年5月に発表された新中期経営計画(25/3期~27/3期)においても、累進配当の継続や総還元性向50%程度の目安の維持が明記されています。
稲畑産業の業績数字には、年により多少のアップダウンがありますが、おおむね業績は堅調であり、配当を維持できなくなるほど大きく悪化することはないと考えています。
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結 論
以上を総合的に考慮し、稲畑産業に対しては中立と判断します。
現在保有している稲畑産業株式は保有を継続しますが、積極的な買い増しは控えます。
理由としては、上記のように、稲畑産業は従前は住友化学の持分法適用関連会社であり、ある意味、住友化学グループの一員でしたが、住友化学の持株売却でこの関係が解消されたことが、やはり大きいです。
現時点で稲畑産業は優良な企業であると考えていますが、長期的に5年・10年と投資していくという観点からは、例えば三菱商事や三井住友FGのような大型の高配当株への投資の方が、より適切だろうとの考えです。
今日も配当生活への道を一歩ずつ進む、ショウでした!
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