なんだか久々に、グッドニュースを聞いたような気がします。
金融庁が、NISA制度(※)の拡充について、正式に要望するとのことです!
※NISAとは少額投資非課税制度のことで、一定の枠内で、株式売却益や配当金に関する税金が非課税になる税務上の制度。
金融庁が要望する中身は、投資家にとって、配当生活・FIREを目指す者にとって、そして日本経済の発展にとって、非常に嬉しい内容となっています。
金融庁さん、ありがとう! 応援しています!
ただし、現時点では、あくまで要望であって、法律に基づく制度として実現したものではない点に注意が必要です。
今後の実際の税制改正内容に、この要望がちゃんと盛り込まれるかどうかウォッチして、答え合わせが必要となります。
金融庁の要望内容
今回、金融庁の要望内容は下記の通りです。
●NISA制度の見直し
1.投資可能期間を恒久化する(無期限とする)
⇒現在は一定の期限あり。
2.非課税の期間を無期限とする。
⇒現在は一定の期限あり。
3.年間投資枠の金額について、新たな成長投資枠を設けて拡大する。
⇒現在は、つみたてNISAで年間40万円まで、一般NISAで年間120万円まで。
4.つみたてNISAは対象年齢を未成年に拡大する。
⇒現在は、つみたてNISA・一般NISAとも、対象は20歳以上
改正要望が実現した場合の影響
今後、これらの金融庁要望が正式に実現した場合、どれくらいの影響があるでしょうか。
仮に、NISA制度改正後の年間投資枠が240万円(平均して月額20万円の投資ができる額)になったとして、試算してみます。
なお、日本がNISA制度をつくった時にお手本にした、イギリスのISA制度では年間投資枠が300万円程度ですので、上記金額くらいの枠は実現してもらいたいところです。
株式売却益や配当金にかかる税金は約20%です。これがNISAでは非課税となります。
●株式売却益について
例えば、100万円でA社株式を買って、10年後に1,000万円で売却した場合、株式売却益は900万円(=売却価格1,000万円-取得価格100万円)です。
通常であれば、この900万円×税率20%=180万円 を税金として支払わなければなりませんが、NISAでは税金ゼロ円となります。
これまでのNISAでは、一定の期限がありましたが、今回要望が実現して、非課税期間が無期限になれば、上記例のように10年後の売却でも、20年後・30年後でも、税金はゼロ円となり、大きなメリットがあります。
●配当金について
例えば、配当利回りが年4%の高配当株B社を、上記で仮定した年間投資枠をめいっぱい使って、240万円分(=毎月20万円)買ったとします。
B社からの年間配当金は、240万円×配当利回り4%=配当金96,000円 になります。
通常であれば、この配当金96,000円×税率20%=税金19,200円 ですが、これがNISAでは税金ゼロ円となります。
なんだか少ないように見えますが、これは1年分ですので、毎年メリットは積み上がっていくことになります。
さらに、翌年以降も同様に高配当株を購入した場合は、もっとメリットは積み上がります。また、翌年以降に増配があれば、非課税メリットはどんどん拡大します。
⇒これは、配当生活やFIREを目指す際には、非常にメリットがあることです。ぜひとも実現して頂きたいです!
今後のスケジュール
NISA(少額投資非課税制度)は、名前の通り、税制に関するものです。
その改正は、毎年の税制改正の流れに従って、実施されます。
●例年の税制改正の流れ
8月:金融庁を含め、各所から税制改正の要望を財務省に提出。
12月:自民党 税制調査会において、○○年度税制改正大綱を決定。
翌年1月~3月:国会にて、税制改正法案を審議し決議。
翌年4月:税制改正法案の施行。
⇒ここでのポイントは、自民党 税制調査会(与党税調)です。与党税調は、税制改正に関して強大な権力を持っています。もちろん、その裏には財務省がいます。
現在の自民党 税制調査会の会長は、財務官僚出身の宮沢洋一議員です。
⇒年末の与党税調において、今回のNISA改正要望が認められて、税制改正大綱に記載されれば、実質的には改正はほぼ決まったも同然です。
あとは、国会で多数を占める自民党議員によって、法律改正の手続きが粛々と実行されるだけです。
⇒例年通りであれば、与党税調での議論の行方が、今回のNISA改正要望の運命を左右します。
まとめ
今回の金融庁のNISA改正要望は、非常に良い内容で、投資家にとって明るいニュースです。
一方、現時点では要望の段階であって、まだ実現していません。
今後、きちんと実現するかどうか政治動向をモニタリングしていく必要があります。特に、自民党 税制調査会と財務省の動きには要注意です。金融所得課税の増税問題もセットで議論される可能性もあります。
ただ、今回の金融庁の改正要望は、岸田首相が発表した「資産所得倍増プラン」の実現を後押しするものでもあり、自民党内でも賛同が相次いでいるとの報道もありました。
NISA改正要望の実現に向けて、まだまだ油断はできませんが、ポジティブな方向性が見えてきています。今後、しっかりと動向をウォッチしていきたいと思います。
今日も配当生活への道を一歩ずつ進む、ショウでした!
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