損益通算・損出しで、お得に節税しよう!~配当金も増えるかも!?~

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税金

最近、だんだんと寒くなってきました。早いもので、今年もあと3か月を切りましたね。

 

年末が近づいてくると、投資家としては、今年の投資損益がどうなっているか、損益通算をどうするか、という点が気になってきます。

 

年間の投資の利益と損失を相殺する損益通算を行うことで、その年に支払う税金を少なくできます。保有株式の中に、含み損の銘柄が全然無いのであれば、損益通算を考える必要はないのですが、なかなかそうも行きません。

 

特に、現時点で今年の投資損益がプラス(利益の方が多い)の場合は、損益通算・損出しをされる方も多いです。

 

今回は、この損益通算・損出しについて、書いてみたいと思います。

高配当株投資家にとっては、非常にお得な結果になり得るので、損出しの実行を検討してみる価値は十分にあると思います。

 

税金の話は、最初は少しややこしいところもあるため、敬遠される方も多いのですが、税金の仕組みを上手に活用できれば、投資の成果に大きなプラス効果があります。

 

一度理解してしまうと、そんなに難しいことでもないので、税金の知識を習得することはおススメです。逆に、敬遠していると非常にもったいないです!

 

税金の計算にはいろんなパターンがありますが、以下では、一般的に多数派と思われる、特定口座(源泉徴収有り)・現物取引(=信用取引無し)・株式数比例配分方式での配当金受取り(証券口座で受取り)のケースを想定しています。

 

なお、税金の処理については、最終的に自己責任で決定してください。

 

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特定口座(源泉徴収有り)での課税の仕組み

証券会社の特定口座(源泉徴収有り)において、株式を売買して得た利益や受取り配当金については、その利益の約20%が税金として、取引の都度、天引きで徴収されます。

※以下では税金を20%、取引手数料はゼロとして簡易計算。

 

例えば、株価500円で100株を買い、その後、株価600円で100株を売却した場合

利益額:(600円-500円)×100株=10,000円

税金の額:利益額10,000円×税率20%=2,000円

 

証券会社に口座を開設する際に、特定口座(源泉徴収有り)を選んだ場合、この税額は、株式売却時に証券会社が計算して自動的に差し引かれます。差し引かれた税額は、証券会社が我々に代わって国に納税します。

 

よって、株式売却後に自分の証券口座に入金される利益の金額は、税額が自動的に天引きされますので、8,000円(=10,000円-2,000円)になります。

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損益通算とは?

損益通算とは、投資で得た利益(プラス)と損失(マイナス)を相殺・差し引きすることです。

これは、原則として、年単位での計算となります。同じ年の利益と損失であれば、相殺することができます。逆に異なる年、例えば、昨年の利益と今年の損失を相殺することはできません(なお確定申告によって、過去の損失を繰り越すことができるケースがあります)

 

この損益通算は、実際に売却後に確定・実現した利益と損失を使います。含み益や含み損のままでは、相殺することはできません。

 

具体的には、例えば、

①A株式を株価100円で100株購入した後、株価200円で100株売却

確定利益10,000円、税金2,000円(=利益額×20%)、手取り利益額8,000円

 

②B株式を株価300円で100株購入した後、株価260円で100株売却

確定損失4,000円、税金ゼロ(利益ではなく損失なので)

 

このケースの場合、①②を損益通算すると、①の利益額から②の損失額を差し引いて、10,000円-4,000円=6,000円。

そして、損益通算した後の利益額6,000円×税率20%=1,200円。これが税金の額になります。

 

つまり、①だけだと税金は2,000円ですが、①②で損益通算してトータルの利益額を削減することによって、かかる税金は1,200円になり、差額の800円分の節税ができます。

 

特定口座(源泉徴収有り)では、この損益通算についても、①②が同一の証券口座での取引の場合、その証券会社が自動的に計算して、税金分を差し引いて納税してくれます。自分では何もしなくても、税金が差し引かれた後の利益額が自分の証券口座に入金されます。

 

実際の証券口座のキャッシュフローの動きは、①の売却時点でまず税金2,000円が差し引かれます。

その後、②の売却時点で800円が戻ってきて(入金されて)、トータルでは1,200円の税金の支払いになるという流れになります。

 

いったん取られた税金が戻ってくるという形になるので、なんだか嬉しい気分になります。

 

但し、気を付けなければならないのは、損益通算の期間は、1年単位(1月~12月)で計算されるルールになっているということです。

 

上記のケースで、①の売却が2020年2月、②の売却が2020年12月であれば、同じ2020年なので、①②は損益通算されます。よって上記の通り、2020年の税金は1,200円です。

 

しかし、①の売却が2020年5月、②の売却が2021年1月になると、違う年ですから、損益通算ができません。よって、2020年の税金は①だけで計算した2,000円になります。

 

⇒つまり、②の売却を含み損状態で2021年に持ち越すよりも、2020年内に売却して含み損を確定した方が、税金的にはお得になります。

 

⇒但し、例えば2021年の年初から株価がぐんぐん上昇して含み損どころかプラ転して含み益になったとか、株価の動向次第では、トータルの損益で見て、含み損を確定せずに保有し続けていた方が良かったということもあり得ます。

 

含み損を売却で確定するか、それとも持ち越して株価上昇を狙うか、状況次第で悩ましいことになりますが、この悩みを軽減できる方法が、下記の損出し(損益通算後に買い戻す)です。損出しをできる状況であれば、実行した方が良いと考えています。

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損出し(損益通算後に買い戻す)

損出しとは、損益通算後に買い戻すという方法です。具体的には以下ご参照ください。

 

損出しを行うことで、節税によって増えたキャッシュフローを使って、高配当株の持株数を増やす(=配当金を増やす)ことも可能です。

 

●前提条件

損出しを行うには、以下の前提条件を満たしている必要があります。

今年の売却等で確定・実現した利益があること
・保有している持株に、含み損の銘柄があること
・含み損の銘柄を今年中(利益を出したのと同じ年)に売却し、損失を確定すること

確定利益は配当金でもOK。受け取り配当金は確定利益額として扱われる。但し、配当益に関する税金の損益通算は年末にまとめて行われるため、配当益を相殺した分の税金の戻りは翌年初になる。

 

●損出しの具体例

※なお単純化のために、下記では100株未満の株数での売買も想定しています。

 

①A株式を株価100円で100株購入した後、株価200円で100株を今年売却した。

→今年の確定利益10,000円がある。税金2,000円(20%)が既に差し引かれている。

 

②一方、保有しているB株式は株価300円で100株購入したが、現在の株価は200円である。

含み損10,000円の状態。(200円-300円)×100株=-10,000円

 

③B株式は高配当株で、1株当り9円/年の配当金を出している。

→取得価格の株価300円ベースでの配当利回りは3%(=9円÷300円)

→現在の株価200円ベースでの配当利回りは4.5%(=9円÷200円)

 

④この時に、B株式を株価200円で100株売却して損失10,000円を確定

その後に、売却で得たお金を使って、同じB株式を売却株価と同じ200円(or売却とできるだけ近い、または低い株価)で100株買い戻す

 

売却してから、買い戻すというのがポイントです。

 

⇒売却価格と同じ株価で買い戻せた場合を想定し、上記の損出しをする前と後の状態を比べてみます。

〇損出しの

・税金2,000円

・B株式100株を保有(取得価格300円、配当利回り3%、配当金900円)

 

〇損出しの

・税金ゼロ円(先に徴収されていた2,000円が戻ってくる)

・B株式100株を保有(取得価格200円、配当利回り4.5%、配当金900円)

 

損出しの前後で、戻ってきた税金分の2,000円がプラス、B株式の配当利回りも上昇します。

さらに、増えた2,000円を使ってB株式を10株追加で買えば、B株式は合計110株で、受取り配当金は990円にアップ(損出しの前より90円プラス)します。

 

この点が、高配当株投資にとって、損出しの大きな魅力となります。

損出しをする前は、単なる含み損であったものが、損出しをすれば、節税で戻ってきたお金を活用して株数を増やし、その結果、配当金を増やすことができます。

 

⇒場合によっては、買い戻す銘柄は、同じB株式でなくてもOKです。B株式と同等以上の配当利回りである他の銘柄を買うことでも効果があります。

 

例えば、株価400円、配当利回り5%、配当金20円/年というC株式があるとします。

その場合、B株式を売却した代金(200円×100株=20,000円)+戻り税金分2,000円を使って、C株式を55株買う(400円×55株=22,000円)ことでも、損出しの前後で配当金を増やす効果があります。

損出し前はB株100株:配当金900円

損出し後はC株55株 :配当金1,100円

 

※注1

売却と買い戻しを同じ日に行うと、買いの取得価格が平均化されて確定損失額が少なくなり、戻ってくる税金が少なくなります。

よって、現物株での売却と買い戻しは「違う日に行う」必要があります

違う日に行うので、売却価格と購入価格に差が出るリスクがあります。多少の差額は許容範囲ですが、大きな差額が生じると税金メリットが減少します。そのため、売却した日の翌日にすぐ買うことで、できる限り差額の発生を避けます。

 

※注2

損出しは、税金を払わずに済む魔法でも何でもなく、その実体は税金の繰り延べです(税金を支払う時期を将来に遅らせる)。

しかし、高配当株を長期保有する前提であれば、損出しによって、税金の支払いを半永久的に繰り延べることができるため、メリットは大きいと考えています。

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まとめ

高配当株を保有していると、全く売買しなくても、通常は配当金の分だけ、確定利益が発生します(但し、配当益を相殺した分に関する税金の戻りは翌年初になる)。

 

ですので、株式売買益や配当益の確定利益があって、かつ保有株式に含み損がある場合、確定利益に生じた税金を節税できるので、損出しは非常に有効で使える技になります。

損出しが可能な状況である場合は、忘れずに年内に実行しましょう。

 

損出しの節税で増えたキャッシュフローで、配当金を少しずつ増やすことができるのも、大きなメリットです。

 

私は直近では、TOBされるドコモの売却益について、損出しで相殺して節税できたお金で、他の高配当株を買いました。

 

今後も、戦略的に損出しを行って、配当金をどんどん積み上げていきたいと思います。

 

今日も配当生活への道を一歩ずつ進む、ショウでした!

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