株式市場や経済・景気の先行きについて、いろんな人が予測してます。それを仕事にしている専門家もたくさんいます。
そのような様々な将来予測の中でも、今後の経済動向は厳しい、景気・後退リセッションが近づいている、金利の引き上げは継続し株式市場は調整のため下落する、などなど悲観的な見通しは多いです。
ここで投資家として知っておきたいのは、悲観的なネガティブな予測の方が、楽観的なポジティブな予測よりも、もっともらしく賢いように聞こえるということです。
例えば、「株式市場は今後下落する可能性が高いので注意しましょう」の方が、「株式市場は今後上昇すると思われるので今のうちに投資しましょう」の方よりも、賢い予測のように聞こえがちです。
投資の分野に限らず、その他の一般的な話でも、悲観的な話の方が賢く聞こえます。
逆に、楽観的な話は、気を付けて話さないと、能天気なバカ扱いされかねません。
これは、経験則でも感じるところが多いですし、行動経済学や心理学的な理由もあります。
今回は、悲観論の方が賢く聞こえる点について、投資の観点から考えてみました。
悲観論の方が賢く聞こえる理由
いろいろな説がありますが、ここでは行動経済学に基づく理由を取り上げます。
行動経済学については、下記の本を参考にさせて頂きました。
1.損失回避バイアス
行動経済学でも代表的なプロスペクト理論によるものです。プロスペクト理論は、人間がどのようなプロセスを経て意思決定するかを説明する理論で、提唱者のダニエル・カーネマンはノーベル経済学賞を受賞しています。
プロスペクト理論によると、人間には「得よりも損を重く感じる」という特徴があります。
同じ金額であっても、儲けた時の嬉しさと、損をした時の悲しみとでは、心理的なインパクトが大きく違ってきます。
例えば、1,000円を拾った時の嬉しさよりも、1,000円をなくした時の悲しみの方が心理的に重くなるのが人間という生き物なのです。理論上では、約2.2倍も重くなるとされています。
ですので、人間の思考の中では、損失を回避しようとする気持ち(損失回避バイアス)が強く働きます。
一方、悲観論は、株式市場が暴落して損をするだろう、だから気を付けてリスク管理して損失を回避しよう、といった内容になりがちです。
そのため、悲観論は、人間の損失回避バイアスと合致しているので、もっともらしく賢く聞こえることが多くなります。
2.確証バイアス
人間には、自分の考えを肯定するような意見を積極的に探すが、反対意見は無視・軽視する心理的傾向があります。
自分の考えや思い込みに執着し、自分に都合の良い情報ばかりを集めて、反対意見は目に入らないか、目に入っても軽く考える傾向です。
上記1の損失回避バイアスで、自分の考えが悲観論に賛同する立場になった場合、この確証バイアスによって、悲観論に都合の良い情報ばかりを集めてしまい、さらに悲観論に傾いてしまうという現象が起こります。
人間の心理や行動経済学を理解しておく
自分の考えがバイアスに影響されたものなのか、そうでないのかを判断するのは難しいです。
ただ、上記のような人間の心理的な動きや行動経済学について、知っているのと知らないのとでは、大きな違いが生じます。
人間はどのように考える傾向があるのかを認識しておくことは、意思決定の際に、非常に役に立ちます。
ここで、投資に関してですが、長期的に見れば、株式市場は右肩上がりで上昇を続けている、という歴史的事実があります。
この歴史的事実と、人間の心理的傾向の両方を認識しておくと、悲観的すぎず、楽観的にもなり過ぎない、バランスの取れた意思決定ができると考えています。
まとめ
行動経済学やいろんな研究によって、人間の心理的傾向が明らかにされています。
投資に関しては、もちろんリスク管理が必須です。楽観的になり過ぎると大きなダメージを受けかねません。
ただし、人間は悲観論の方が賢く聞こえる心理的傾向があることを踏まえて、過度にリスクを重視しない、過度にリスク回避しない、バランスの取れた意思決定を行うことが、投資で利益を上げることにつながります。
株式市場の暴落の時にどのように行動するかをあらかじめ考えておくことも、心理的バイアスを乗り越えるのに有効だと思います。
なお、私なら暴落時にこうするという点を下記記事でまとめています。
今日も配当生活への道を一歩ずつ進む、ショウでした!
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